虐待で児童相談所に保護求めた中学生が自殺

虐待で児童相談所に保護求めた中学生が自殺
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両親から虐待を受け、相模原市の児童相談所が対応に当たっていた男子中学生が自殺を図り、先月、死亡していたことが分かりました。中学生は繰り返し保護を求めていましたが、両親の同意が得られず同居を続けていたということで、児童相談所は、対応に問題がなかったか検証することにしています。
相模原市によりますと、自殺を図ったのは相模原市の中学校に通っていた当時1年生の男子生徒で、3年前、両親から虐待を受けていると学校から通告があり、市の児童相談所は、両親と生徒を通わせて虐待がないことを確認しながら親子関係の改善を指導していました。
この間、男子生徒は「児童養護施設で暮らしたい」などと繰り返し保護を求めていましたが、親の同意が得られなかったため「一時保護」は行わず、親子関係が改善が見られ差し迫った危険性はないとして、親の同意を得ずに職権で「一時保護」する措置も取らなかったということです。
しかし、おととし10月に中学校から児童相談所に「男子生徒が父親から暴力を受けた」と連絡があったあと、男子生徒は自殺を図り、病院などで手当てを受けていましたが、先月、死亡したということです。
児童相談所は、当時の対応に問題がなかったか検証することにしています。相模原市児童相談所の鳥谷明所長は「適切な対応に努めてきたと考えているが、結果として生徒が亡くなってしまったことは重く受け止めている。私たちに足りなかったことがなかったか考えたい」と話しています。

一時保護 児童相談所がためらうケースも

厚生労働省によりますと、虐待を受けた子どもを児童相談所の施設などに緊急に保護する「一時保護」の件数は年々増加していて、昨年度は1万6816件と10年前のおよそ2倍に上っています。一方で、「一時保護」は児童相談所の権限で子どもを家庭から引き離すことから、保護者との関係が悪化し子どもを家庭へ戻すことが難しくなるとして、児童相談所がためらうケースもあると指摘されています。このため厚生労働省は、虐待の対応を定めた手引で、子どもの安全が脅かされている疑いがある場合は保護者の同意がなくても「一時保護」できると明記したうえで、積極的に行うよう求めています。厚生労働省は今回相模原市で起きたケースについて、事実関係を把握し対応に問題がなかったか調べることにしています。