ウレぴあ総研

最近、育児をしていて難しさを痛感するシーンがあります。

【リサーチ結果】子育てママたち、「叱らない子育て」実践してる?

それは、「褒める」と「叱る」のバランスについて。

もちろん悪さをした時には躾という意味で注意をしますし、なぜダメなのかを説明します。
しかし、叱るシーンが続くと自己肯定感を持てなくなるのでは、と心配になり、ほどほどのところで終わりにしています。

逆に褒めることは好きなので、つい褒めがちな父親となっているのですが、これはこれで子どもを勘違いさせる原因にもなりますので、ほどほどにする必要があります。

また、最近では、「子どもに優しすぎる親が多い」といった内容のニュースを見聞きします。我々、親がしっかり怒らないと学校などに迷惑をかけることもあるようです。

“ゆるい子育て”が、学校の先生を困らせている

学校での問題はやや深刻のようでして、我々、親が叱らない子育てをすることで、学校での指導が非常に行いにくくなっているようです。

ゆとりやゆるく生きることに慣れてしまっている最近の若者に対して厳しく指導すると、彼らはいとも簡単に傷ついてしまうのです。

中には、先生に反発する人もいるでしょう。指導者が良かれと思ってとった厳しい対応。しかし、それが学生にとってショッキングな出来事と受け止められてしまい、意図せぬかたちで親御さんに伝わることもあるのです。

場合によっては親からのクレームとなってしまい、担当教師の配置換えなどが発生したりするのです。教師陣がよかれと思った指導が発端となり、教師自身が自分の首をしめてしまうのです。

これまで約20校の国立大学・私立大学で心理学の授業やカウンセラーを務めた榎本博明さんは、自著『ほめると子どもはダメになる』のなかで、「ほめる子育て」「叱らない子育て」が当たり前となった昨今、子どもたちの様子が随分と変わってきていると指摘しています。

親のゆるさが子どもの「学力低下」に

教育力の低下は、“親子の絆”を求めすぎた結果

榎本さんが教えている大学でも、自分勝手な自己主張をする学生が増えているようですし、また社会に出てから上司の正当な注意に対して傷ついてしまう。
子どもたちが実に弱くなってしまっているのです。

「家庭の教育力再生に関する調査研究」文部科学省委託研の調査によると、学生が弱くなってしまった理由の1位が「子どもに対して、過保護、甘やかせすぎや過干渉な親の増加」(66.7%)となっています。

親の過保護は、教育力の低下の原因ともなっているんですね。
では、実際の親はどのように考えているのでしょう。

同書では、親が子どもの前でありたい姿についての調査結果を紹介しています。

子どもとどのようにありたいか、という質問に対しては、1位が「何でも話し合える友だちのような母親」(83.2%)という結果になりました。また、2位は「できるだけ子どもの自由を尊重する父親」(82.8%)です。

実際には友人のように接したい、自由に過ごしてほしいと、過保護を容認するものとなっています。「子どもに対して厳しく接したい」という父親は17%にとどまり、母親は11.7%でした。この調査結果を見ると、子どもには厳しくよりも優しく接す親が多いことがわかります。

ここで他国と日本の教育に関する考え方を比較してみましょう。日本特有の数字が見えてきました。

各国との教育方針との大きな差

子どもの自由を重んじすぎる日本、諸外国との差

ある国際調査(「家庭教育に関する国際比較調査」国立女性教育会館、2004年、2005年度)によると、「親のいうことを素直に聞く」ことを子どもに強く期待する親は、日本には29.6%しかいません。
しかし、これがフランスだと80.1%、アメリカだと75.2%となるのです。

さらに、「学校でよい成績をとる」ことへの期待ですが、日本では「強く期待する」が11.9%と飛び抜けて低くなっています。
アメリカは72.7%でフランスは70.1%、スウェーデンでは45.9%と半数を下回り、タイで28.9%、韓国で21.5%と期待が下がりますが、日本の低さは際だっていますよね。

これらを見ていると、日本の親は子ども自由を少々尊重しすぎているという現状が浮き彫りになってきました。もちろんしつけが出来ていれば良いのでしょうが、尊重はするがしつけはしない、では問題は深刻化する一方です。

ここで榎本さんが興味深い調査を行っています。

叱れなくなった先生

20歳前後の大学生(253名)と30~60代の人々(91名)を対象に様々な問いを投げかけました。するとこの前者と後者では、回答の傾向が全く違ったのです。

小学校時代に先生から「よく褒められた」という数を調べたところ、前者は53%がこれに該当。そして、後者で37%がこれに該当しました。

20歳前後の大学生の方が褒められて育っています。逆に「よく叱られた」というのは、前者で25%。後者で42%。中学高校時代でも同様の傾向がみられました。

明らかに叱る先生が減り、褒める先生が増えていることが調査からわかります。
また、父親と母親の「褒める機会」「叱る機会」に関しても同じような傾向が見られました。

ただ、ここからが大切です。

“厳しさ”がもたらすもの

父・母の厳しさが子にもたらす得難いもの

大学生に関して両親の厳しさと本人の心理傾向との相関をみると、父親が厳しいほど「有能になりたいという思いは人一倍強いほうだ」「失敗から学ぼうという気持ちが強い」といった性質を肯定する傾向がみられたというのです。

そして、母親が厳しいほど「非常にやる気があるほうだ」「向上心が強いほうだ」「目標を達成したいという気持ちが強いほうだ」といった性質を肯定する傾向がみられ、「何事に対してもあまりやる気になれない」という性質を否定する傾向がみられたのです。

このように厳しさをもって育てることで、「高いモチベーション」や「粘り強さ」を得ることができるのです。
もちろん、「ゆとり」と「厳しさ」のバランスが大切という点は大前提ではありますが、親として厳しさをもって子どもと接することは、子どもにとっても、また、それを受け入れる学校側にとっても良いことだと言えるのです。

皆さん、お子さんと厳しく接していますか? やはりわが子どもは逞しく育ってほしいもの。今日から気をつけたいと思います。

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