岩佐友
2016年3月22日11時31分
2005年に起きた栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判は22日、検察側の論告が宇都宮地裁であり、「自己の欲望を満たすためという動機は身勝手で、口封じ目的に殺害した悪質な犯行だ」などとして無期懲役を求刑した。弁護側は同日午後の最終弁論で改めて無罪を主張し、結審する予定。判決は31日に言い渡される。
検察側の主張によると、被告は05年12月1日午後、下校途中の女児を車に乗せて栃木県鹿沼市の自宅に連れて行き、わいせつな行為をした後、同日深夜に車で茨城県常陸大宮市の林道へ移動。2日午前4時ごろ、ナイフで女児の胸などを多数回刺して殺害したうえ遺体を捨てた、とされる。
被告は14年1月に商標法違反容疑で逮捕された。同年6月に殺人容疑で再逮捕され、その後の検事の取り調べで殺害などを認めた自白調書が信用できるかなどが、争点になっている。
論告で検察側は「被告の自白は具体的で、犯人でしか語り得ない内容だ。調書は信用できる」と主張。犯行があったとされる時間帯に、自宅と遺棄現場方面を往復した可能性を示す「Nシステム」(自動車ナンバー自動読み取り装置)の記録があることや、被告が所有していたスタンガンが女児の首にあった傷と矛盾しないことも訴えた。
一方の弁護側は、遺体の状況と調書の内容の間には、死亡推定時刻など多くの矛盾点があると指摘。被告の関与を示す客観的証拠は一切なく、長期間の拘束で自白させられたもので、調書に信用性はないと訴える。女児の遺体に付着した粘着テープに、「誰のものか説明できないDNA型がある」とした解剖医の証言も、被告以外の真犯人がいる根拠として挙げる。
偽ブランド品を譲渡目的で所持していた商標法違反と、ナイフを所持していた銃刀法違反の罪は裁判官だけで審理され、被告はすでに有罪とされている。裁判員も加わり、両罪も含めて量刑を決める。(岩佐友)
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朝日新聞社会部
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