文化庁を京都に 国機関の地方移転 基本方針決定

文化庁を京都に 国機関の地方移転 基本方針決定
k10010451531_201603221217_201603221218.mp4
政府は「まち・ひと・しごと創生本部」の会合を開き、地方創生に向けて、文化庁を数年以内に京都府に移転することを柱とした、国の機関を地方に移転するための「基本方針」を決定しました。
政府は22日午前、総理大臣官邸で、安倍総理大臣を本部長にすべての閣僚が参加する「まち・ひと・しごと創生本部」の会合を開き、国の機関を地方に移転するための「基本方針」を決定しました。
それによりますと、文化庁を、一部の事務に関わる部署を除き、誘致を希望していた京都府に数年以内に移転するとしています。そして、移転を進めるにあたって、関係省庁による「移転協議会」を新たに設け、移転の時期や費用の検討を進め、年内をめどに具体的な内容を決定するとしています。
また、徳島県が求めていた消費者庁と、和歌山県が希望していた総務省の統計局については、一部の職員が現地で業務を行う実証実験などを行ったうえで、ことし8月末までに結論を得ることを目指すとしています。
一方、大阪府が求めていた中小企業庁や、北海道や兵庫県が希望していた観光庁など、誘致の要望があった4つの庁は移転の対象とはせず、地方にある国の出先機関の機能を強化することで対応するとしています。
さらに、独立行政法人や研究機関などを巡っては、東京国立近代美術館工芸館を数年のうちに石川県に移転する方向で検討するほか、国立がん研究センターの研究連携拠点を山形県鶴岡市に設置するなど、研修や訓練の一部を地方で行うことも含めて、23の機関を地方移転の対象として明記しています。

「国と地方の双方にとって有意義なものに」

安倍総理大臣は「政府関係機関の地方への移転は、東京一極集中を是正し、地方創生を進めていくための重要な施策だ。政府としては、この取り組みが国と地方の双方にとって有意義なものとなり、地方創生に大きな効果をもたらすよう努めていきたい」と述べました。

馳文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で、「文化庁を京都に移転することによって、より一層の機能強化や存在意義を発揮することができると考えている」と述べました。また、馳大臣は「文化庁が全面的に移転するということは、当然、長官も次長も移転するという意味なので、組織の体制を『どのようにしたら、より効果を発揮するのか』という観点で、移転協議会において議論される必要がある」と述べました。

政府が決定した「基本方針」で、徳島県が求めている消費者庁については一部の職員が現地で業務を行う実証実験などを行ったうえで、ことし8月末までに結論を得ることを目指すとされました。
これについて、河野消費者担当大臣は閣議後の記者会見で、「今月行ったお試し移転では、テレビ会議システムなどの機器を使い慣れていないという問題があったので、専門家の方々にお願いして、もう少ししっかりやっていきたい。移転して業務がきちんとできるかということがなければ、その先はないと思うので、まずは、業務の移転がしっかりできるかということを確認したい」と述べ、7月に改めて行う、より大規模な実証実験では、システム上の問題の解決に取り組み、業務の移転が可能か確認したいという考えを示しました。

高市総務大臣は閣議のあと記者団に対し、総務省統計局について、実証実験などを行ったうえで、ことし8月末までに結論を得ることを目指すとしていることに関連し、「統計データの利活用の促進は、国としても、今後、地方公共団体などと連携して全国的に取り組む必要があり、地方実施の選択肢となりうるものだと考えている。わが国の地方創生に資するように、和歌山県と密接に連携しながら、今回取りまとめられた基本方針に沿って取り組みを進めていく」と述べました。

文化庁移転 今後の動きは

基本方針の決定を受けて、政府は来月にも「文化庁移転協議会」を設け、課題を検討することにしていて、内閣官房や文部科学省など関係省庁のほか、京都府や京都市なども参加する方向で調整が進められています。
協議会では、移転の規模や時期、移転にかかる費用、それに国と京都側との費用負担の在り方などを巡って意見を交わし、年内をめどに具体的な内容を決定することにしています。また、東京と京都をインターネット回線で結んだテレビ会議など、ITC=情報通信技術を活用した実証実験を行い、移転後の課題なども検証することにしています。
さらに、馳文部科学大臣は、来月中に京都市を訪れて京都府の山田知事などと会談し、スムーズな移転に向け連携強化を図りたい考えです。