テクノロジー
2016年 eコマース市場における5大予測
- Mar 21, 2016
日々様々な分野のリサーチをしている中で、eコマース(EC)の市場規模が年々拡大していることをひしひしと感じる。生活の中からうかがえるのは、最近インスタグラム上でリテーラーやブランドのアカウントを見ることが多くなったことだ。その理由として、マーチャント側がソーシャルメディアを活用して消費者との間に強い信頼関係を生むことで、消費者の購買欲を生み、さらに第三者に情報の拡散をしてもらえることが挙げられる。
データ上でもeコマースの市場規模を見てみたい。Remarketyによるeコマースの国別市場調査によると、2015年のeコマース売上高トップ5の国は下記5ヵ国であることが分かった。(売上高はドル計算)
1位 中国(約5,627億ドル)
2位 アメリカ(約3,490億ドル)
3位 イギリス(約939億ドル)
4位 日本(約793億ドル)
5位 ドイツ(約745億ドル)
中国とアメリカが群を抜いて他の国を引き離しているが、ランキング上位5位の売上高を単純に計算すると、昨年でこの5ヵ国だけでも約1兆1,590億ドルもの資金を生み出していることになる。そんな世界中で拡大を続けるeコマースだが、今年どのような事が起きると予測されているのだろうか?アメリカのリサーチ会社BI Intelligenceの調査報告を基に5つの予測を立てたので、eコマース業界者には特に読んでいただきたい。
1.独走態勢を構えるAmazon
昨今オンデマンド配信サービスやフードデリバリーサービスといった新たな事業展開で大きな成長を見せるAmazonだが、今年もその勢いは止まらないだろう。バックエンドのサポートとしてAmazonのブランドネームが入ったトレーラートラックを数千台購入したと伝えられているが、それだけに留まらずオハイオ州ウィルミントンにある貨物空港の施設をまるごと借りるという噂まで流れている。一方でフロントエンドをサポートする為に住宅地用の配達サービスを開始した。既にご存知かもしれないが、昨年世間を大きく騒がせたドローンを使った革新的な配達手法で一躍有名になった。
これらの事業開発の裏側には、FedExやUPSといった第三者の宅配業者に依存することなく自分たちの力でシェアを拡大していこうという強い思いが隠れているように感じとれる。きっとこのハングリー精神がAmazonを国内最大のオンラインリテーラーまでに成長させたのだろう。彼らの今後に活躍に大いに期待したい。
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2.Facebookがeコマースに変革をもたらす
eコマースのニッチなエリア開拓において、ソーシャルメディアのプラットフォームとセールスの関係性がより深まっている。昨年、目標達成への大きな一歩を踏み出したFacebookが今年eコマース業界に大きな影響を与えると言われている。その理由として、昨年にリテーラーやブランドに向けて開始した商品宣伝の為のプラットフォームの提供が挙げられる。
具体例として、消費者はMessangerを通じて商品の配達状況を知ることができると同時にブランドの担当責任者に対して要望や意見を伝えることも可能となった。それに加えてMessangerを使ってUberなどの輸送サービスを利用できるため、これらの一連の流れから今年Facebookはeコマースに更に力を入れていくと思われる。
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3.Beaconsがオンラインショッピングのメインストリームに
アプリのアナリスト会社Flurryの調査によると、スマホ又はタブレットを使ったオンラインショッピングアプリの使用率が2014年には174%増となり、どのアプリよりも多い使用頻度ということが判明した。この調査結果から、モバイルショッピングアプリの活用にはBeasonsなどのマーケティングシステムが欠かせないことが分かった。
Beaconsはリテーラーやブランドがモバイル上で消費者に対して様々なプロモーションを行える小型ワイヤレスデバイスなため、マーチャント側がデバイスを導入することにより、今後オンラインショッピングが消費者にとってより身近な存在となるだろう。
4.注目を集めるアフィリエイトマーケティング
アドバタイザーが商品やサービスの広告をパートナー(アフィリエイト)のウェブサイトに掲載してもらい、クリック数や閲覧数に基づいて報酬が発生する仕組み、これをアフィリエイトマーケティングと呼ぶ。今オンラインリテーラー達の間で人気の高い収入源であり、今年この波がさらに高まることが予測される。
アフィリエイトのカギとなっているのが、第2の収入源を求めるメインストリームメディアのパブリッシャーとインフルエンサーマーケティングの2つである。後者は、ブロガーやインスタグラマーといった”インフルエンサー”を起用してソーシャルメディアを拡大させる戦略だ。この2つの要点をおさえると今後メディアからコマースのすべてがモバイルへ移行していくことが予測される。デジタル市場のアナリスト会社comScoreによると、アメリカ国内でスマホやタブレットを使ってオンラインショッピングをする時間は60%にも昇ると言われている。
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5.Alibaba、アメリカ市場参入の可能性
2014年、Alibabaがアメリカのeコマースマーケットに参入するように思われたが、特に大きな変化は見られなかった。そんな状況下、Alibabaがアメリカのマーケット進出に向けて準備を進めていることは間違いない。現在中国系リテーラーがアメリカマーケットで利用するeコマースのプラットフォームとして11Main.comが挙げられるが、Alibabaが目指すスケールは更に大きいものだと考える。その理由として、Alibabaは既に国際輸送・決済といった世界的な事業展開に従事し、有利な立場に身を置いているため。残る課題は、アメリカに住む消費者をどう獲得していくかだろう。
また、AlibabaのビジネスモデルがeBayやEstyのものと酷似していることから、今後どのように差別化を図るか考えていく必要があるだろう。なお、昨年PayPalとの契約を解消したeBayだが、新たなソリューションを打ち出してくる可能性も大いに考えられる。
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