信じがたいが、実話である
<この作品は、私が来年出演する映画でも、もっとも衝撃で愚かで愛おしい、何物にも変えがたい問答無用の最狂最愛物語です。皆様、どうか、一人の男の人生を目撃してください>
6月25日に公開される映画「日本で一番悪い奴ら」(以下、「日悪(にちわる)」で、綾野剛が役者人生をかけた体当たり演技に挑んでいる。冒頭の言葉は、昨年12月に公表された綾野本人による作品評だ。監督は、「凶悪」で新藤兼人賞金賞をはじめ数々の映画賞を受賞した白石和彌。同作で見せた背筋の凍るような暴力シーンは「日悪」でも健在だ。
息つく暇のないこのクライムムービーで綾野が演じるのは、無謀で血なまぐさいマル暴刑事・諸星。「銃器対策のエース」だった男が、警察組織から過大な期待をかけられるあまり、身を持ち崩していくさまが描かれている。
物語は、全国から拳銃をかき集めることを目的に、警察庁が「銃器対策」を発することからはじまる。その最前線に立たされたのが、諸星警部だ。簡単に「摘発」といっても、拳銃はそこらへんに落ちているわけではない。必然、ヤクザや密売組織から取り上げることになる。
成果を上げるために諸星が目をつけたのが、S(スパイ=捜査協力者)を活用して、暴力団関係者や密売組織の一翼を担う外国人たちから、拳銃を購入する手法だった。この手でいくつもの拳銃を「摘発」する諸星への期待は膨れ上がっていく。しかし、Sを運用するための満足な捜査費は支給されることはない。いつしか諸星は覚せい剤を売買してカネを稼ぐようになる。そして最悪の不祥事が引き起こされてしまう――。
実はこの映画は完全なフィクションではない。諸星は実在の警部がモデルになっている。北海道警察の元警部、稲葉圭昭氏。現役時代に押収した拳銃は100丁を軽く上回る。稲葉氏は北海道警銃器対策課の「エース」だった。
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