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【海保卒業式】
「国民が諸君を頼りにしている」 安倍首相の海保学校卒業式での訓示全文
「15年前の事件でも諸君の先輩たちが海上保安官としての揺るぎない使命感を身をもって示してくれました。九州南西海域で巡視船あまみが追跡していた不審船から突然、自動小銃により攻撃されました。『かがめ!』。久留主(くるす)船長の声が船橋に響きました。100発を超える銃弾を受ける中で、長友(ながとも)航海士、金城(きんじょう)航海長が次々に負傷しました。ロケットランチャーによる攻撃まで行われました。しかし、そうした過酷な状況の下でも諸君の先輩たちはたじろぐことなく、任務を継続し、不審船の逃亡を決して許しませんでした。任務終了後、この海上保安学校の卒業生でもある久留主船長は、銃撃戦が行われた現場の状況を振り返り、こう語っています。『みな一致団結して、当たり前のことのようにやっていた』。いかなる状況にあっても当たり前のことのように任務をこなす。これは、並大抵のことではありません。しかし、これから海上保安官となる諸君には、その心構えを常に持って、これからの鍛錬を積み重ねてほしいと思います」
「ときには、辛く苦しいと感じることもあるかもしれません。しかし、そうしたときにはこの海上保安学校での学びの日々をどうか思い出してほしい。厳しい訓練についていけず悔し涙を流した夜、乗り切った3回の遠泳、船酔いに苦しんだ乗船実習。すべてが諸君の血となり肉となっています。練習船みうらでの厳しい実習を終え、達成感、充実感の中で食べたあの万願寺カレーの味を思い出して、いかなる困難も乗り越えてほしいと願います」