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【海保卒業式】
「国民が諸君を頼りにしている」 安倍首相の海保学校卒業式での訓示全文
安倍晋三首相は19日、海上保安官を養成する海上保安学校(京都府舞鶴市)の卒業式に現職の首相として初めて出席し、訓示で「平和で豊かな海を守る海上保安庁の役割は、重要性を一層増していく。それは時代の要請だ。それぞれの現場で全力を尽くしてほしい」と激励した。訓示の全文は以下の通り。
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「本日、内閣総理大臣として初めて、この海上保安学校の卒業式に臨み、祝辞を述べる機会を得たことを大変うれしく思います。卒業おめでとう。卒業生諸君の誠に礼儀正しく、希望に満ちあふれた姿に接し、頼もしく感じております。本日は一言申し上げます」
「台風が近づき、しける海の真ん中でその事故は起きました。7年前、八丈島沖で1隻の漁船が転覆しました。船体発見との知らせを受け、6人の潜水士が現場へと急行しました。漁船が消息を絶って既に3日。しかし、潜水士たちは決してあきらめませんでした。懸命の捜索作業を続け、船底のわずかな空気だまりに3人の生存者がいることを発見しました。よく生きていた。必ず助けようと自分を奮い立たせた。当時の榎木潜水士の言葉からは、その強い責任感が伝わってきます。転覆船での作業は、全員初めての経験でありましたが、冷静かつ見事な連係プレーにより、船内から3人の乗組員を無事救出しました。救出されたおひとり、鳰原(にゅうはら)さんの2人のお子さんは当時小学生でありました。『お父さんがいる』。こう言って無事帰還したお父さんと抱き合ったまま泣きじゃくっていたそうであります。人の命を守る。それは家族の幸せな暮らしを守ることでもあります。その任務は誠に崇高なものです」