さて、いかがでしょう?
「なんだよ、良いこと言ってるじゃん」
「マスコミは相変わらず揚げ足取りだな。当たり前のこと言ってるだけだろ」
「最初のひとことが余計だけど、いいこと言ってんじゃん」
「そうだよ。少子化どうにかしなきゃだよ」
そんな感想を持った人は多いのではないだろうか?
実際、私のまわりも、当初は激しく炎上したネット民たちも、「これは正論」とばかりに納得した。
「大切なことは、子供を二人以上生むこと。キャリアを積むこと以上に価値がある」という一部だけが報じられたときの、大炎上はどこ吹く風。「そんなに騒ぐことじゃない」的コメントが、激増したのである。
「少子化解消のために、子ども産みます!」???
確かに、全文を読むと言わんとしていることはわかる。国の現状、未来、少子化への危惧、男性の育児参加、キャリアを中断する勇気、一億総活躍――。まさに正論。
「希望出生率1.8」は、「子どもを2人以上産む」ことだし、安倍政権が進める施策を、ご自分の言葉に置き換えたに過ぎない。
だが、正論では人は動かない。人を動かすのは、常に感情である。とりわけ男女の問題では、自分でさえ理解できない状態に陥った経験を、誰もが一度や二度はしているのではあるまいか。
いったいどこに「少子化解消のために、子ども産みます!」と言う女性がいるのだろう?
いや、中にはそういう奇特な女性もいるかもしれない。でも、普通は惚れた男がいるから「欲しい!」とか、「できた!」ってなるだけのこと。
「少子化解消のために、俺と結婚してくれ」なんてセンスの悪いプロポーズや「今夜は少子化解消に貢献しよう!」なんて笑うに笑えないくどき文句を口にする男性を、見たことも聞いたこともない。ましてや、「はい!お国のためを考えてるアナタ、ステキ!!」なんてラブする女性も、まずいないはずだ。
「働く」という行為についても同じだ。
いったいどこに、「労働力が必要だから、働きます!」という女性がいるのだろう?
もし、そんな健気な女性がいたら教えてほしい。普通は「働きたい」から働くのであり、多くの女性たちは「働かないと生活できないから」働くんじゃないのか。
だからこそ、「日本死ね!保育園落ちた」なのだ。
国って、何? 少子化対策って何? ほんと、一体なんなんだ?