何でもやるECB、預金と借り入れで金利逆転-でも融資に回らず (1)
2016/03/22 03:23 JST
(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は2014年6月に、市中銀行が中銀に預ける預金にマイナス金利を課し始めた。企業と家計への融資を促す目的だったが、この政策は奏功していない。
マイナス金利導入後に、ECBに滞留する市中銀行の超過準備は6倍に増えた。一方、ユーロ圏内の融資残高はほぼ横ばい。この間に銀行の資産は6460億ユーロ(約81兆円)増えたがその大半は中銀に預けられた。
銀行が金利を払ってまで資金を中銀に預けている理由の一つは、ユーロ圏経済がまだリセッション(景気後退)と債務危機からの回復途上にあり融資需要が弱いことだ。不良債権と資本水準の低さに悩む銀行が融資を増やしたがらないことも一因で、事業再編の過程にある銀行もある。条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)をマイナス金利にして、今度はECBが資金を借り入れる側の市中銀行に金利を支払おうという案も、融資促進につながるかどうかは不明だ。
ドイツ銀行の銀行・金融市場調査責任者、ヤン・シルドバッハ氏は、銀行は「持続的に融資を増やせるほど収益を上げていない。ECBが銀行に貸し付ける金利をマイナスにしてもあまり効果はないだろう」と述べた。「問題は流動性や価格ではない」と付け加えた。
ECBのデータによれば、事業会社と消費者向けの融資(住宅ローン除く)の残高は14年6月から約6兆8000億ユーロで横ばいとなっている。
原題:ECB Doing Whatever It Takes Can’t Push Euro-Area Banks to Lend(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Yalman Onaran yonaran@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Peter Eichenbaum peichenbaum@bloomberg.net
更新日時: 2016/03/22 03:23 JST