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核軍縮と日本 広島から力強い発信を

 核兵器国と非核兵器国の対立が先鋭化する中、両者の「橋渡し役」を志向する日本の責任は、ますます重いものになっている。

     伊勢志摩サミットを前に、4月10〜11日には広島市で主要7カ国(G7)の外相会合が開かれ、岸田文雄外相やケリー米国務長官らが集う。

     日本は核兵器廃絶へ向けた議論を主導し、被爆地・広島から力強いメッセージを打ち出してほしい。

     オバマ米大統領の「核兵器のない世界」演説から7年。世界には今も約1万6000発の核兵器がある。 核軍縮は停滞し、核拡散の現状は深刻だ。核拡散防止条約(NPT)体制は、米露英仏中の5カ国だけに核保有を認める代わりに核軍縮を義務づけ、それ以外の国の核保有を禁じているが、空洞化が著しい。

     近年はNPT体制の行き詰まりを打開するため、核兵器の非人道性に着目し、開発、実験、生産、使用などを禁じ、核保有国に廃棄を義務づける核兵器禁止条約を制定しようという動きが、活発化している。

     先月下旬、スイス・ジュネーブで、核廃絶に向けた法的措置を話し合う国連の公開作業部会が開かれたのも、そういう新たな流れを受けたものだ。作業部会は、5月と8月にも会合を開き、今秋の国連総会に勧告と報告をすることにしている。

     だが、禁止条約を警戒する5核保有国は昨年12月、国連総会での作業部会の設置決議に反対し、部会にも参加していない。米国の「核の傘」の下にある日本は、決議を棄権し、部会にはぎりぎりで参加を決めた。

     日本は唯一の戦争被爆国として核廃絶を訴えながら、米国の核抑止力に依存する安全保障政策をとる。

     このため、禁止条約については、「核保有国の協力」「現実的で実践的な取り組み」「安全保障環境への考慮」を抜きに進めるべきではないという考えだ。

     核廃絶という理想と、厳しい安全保障環境という現実のはざまにある日本の対応は、わかりにくく二重基準との批判も招くが、現実的な取り組みを積み重ねていくしかない。

     先月の作業部会では、日本はオーストラリアの主導により、長期的な禁止条約の検討に言及した文書を共同提出した。核兵器数を極力減らしたうえで、検証システムの整備などを前提条件に、禁止条約を検討することはあり得るとの考えを示した。

     核保有国にとっても十分に歩み寄りが可能な内容ではないか。

     この文書には、G7のうち日本、ドイツ、カナダ、イタリアの4カ国が名を連ねる。広島の外相会合では、米英仏の理解も得て、核兵器の非人道性を訴え、禁止条約の将来展望を語るような発信を期待したい。

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