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「記者の眼」

楽天に再燃する悲観論、安定成長のジレンマ

  • 飯山 辰之介

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2016年3月22日(火)

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 楽天の電子書籍Kobo(コボ)を記者は愛用している。スマートフォンやタブレットがあれば、どこでも小説や漫画が読める気軽さに魅かれ、購入書籍数は既に400冊を超えた。ラインナップに不満がないとは言えないが、概ねサービスには満足してきた。

 ただ楽天の事業としてみると、Koboは決して順調ではない。赤字が続いていると見られ、2月12日にはこの事業を展開するカナダの子会社、Rakuten Kobo社で78億円の減損損失を計上したと発表した。「世界の電子書籍市場の立ち上がりが当初の想定よりも遅れ、それに伴う事業計画の遅れが要因」だという。加えて楽天はフランスのネット通販子会社プライスミニスターについても減損損失を計上。これが響き、同日発表した2015年12月期の連結純利益(国際会計基準)は444億円と前の期比37%減少した。

 Koboだけではない。楽天の今後を不安視する見方が広がっている。

 海外ではタイでの通販事業を縮小するなど戦略の見直しを迫られ、国内でも米アマゾン・ドット・コムやヤフーとの競争が激化。屋台骨である楽天市場の成長が鈍化していると見られている。こうした内憂外患を受け「楽天はアマゾンに駆逐されるという見方が、またぞろ復活しつつある」とドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストは話す。

次の成長の芽をいかに育てるか。三木谷浩史会長兼社長の手腕が改めて問われている。(写真=北山宏一)

 2000年代後半に楽天について回っていたアマゾン脅威論が再燃しているのだ。

 国内ネット通販市場は今後も拡大する見通しで、楽天はその恩恵を大きく受けるプレーヤーの1社。金融事業が好調なのに加え、財務も盤石だ。「減損リスクも一巡し、安定成長できるだろう」(風早アナリスト)との見方もある。それにもかかわらず、なぜ楽天には悲観論が広がりやすいのか。一時的にしろ不調が伝わると、なぜアマゾンに駆逐されるという脅威論が再燃するのか。

際立つアマゾンとの姿勢の違い

 理由は数あれど、あえて一つ挙げるとすれば新規事業投資に対するアマゾンとの姿勢の違いにあるだろう。

 楽天は2014年前後に、新規事業の投資見直しに乗り出していた。たとえば、Koboでは赤字の通信会社を黒字化した実績を持つ日本人トップを送り込んでリストラに着手。それまで乱発していた割引クーポンの発行を抑え、電子書籍端末の在庫を削減し、発売する機種を絞り込んだ。物流分野でも拠点を全国に拡大する計画を進めていたが白紙に戻した。こうした投資や経費の削減により、楽天は2014年12月期に初めて営業利益を1000億円の大台に乗せている。

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