写真とWEBを使って北アルプスの温泉地でノマドするブログ
初めて一眼レフを購入した初心者の方は絞り(F値)の扱い方にはわからないと思います。
コンパクトデジカメと一眼レフの違いはF値が変わることによる写真の表現の違いと言っても過言ではありません。
撮影した写真だけで言うならばF値が低いほど背景がボケて、F値が高いほど背景がボケません。これはどのHOW TOにも載っていますね。結論からいうとこその通りです。
しかしF値を変えることで撮影条件がガラっと変わるので、絞りは基本から理解しておかないと自分の思う通りの写真が撮れません。
絞り(F値)を自分の思うとおりに設定できると写真のスキルは一気に上がります。最初は難しいかもしれませんが絞りについて理解を深めることが一眼レフで上手く写真を撮ることと直結します。一眼レフ初心者の方から、レンズの画質や特性に関わるところまで、(F値)に関して余すことなくまとめていきます。
この記事の目次
レンズからカメラに入る光の量を調整するために光の量を調整する部品です。デジタル一眼レフ用のレンズでは絞りを物理的に自分で開けたり絞ったりができないために、デジタル一眼レフから写真をはじめた人には難しいものです。
このようにレンズから入る光の量を絞りの穴の大きさによって制御します。絞りが開いている程一度に大量の光を取り込むことができます。この絞りの開き具合をF値でコントロールして光を取り込む量をコントロールします。
絞りをどのくらい開ける / 絞るかを数値化したものです。これをカメラの設定画面上では【F値(focal number)】と呼びます。
F値が小さいほど絞りが空き多く光を取り込み、F値が大きいほど絞りが小さくなり光の取り込み量が少なくなります。
F値は√2倍単位で変化します。まずはF1.4とF2だけ暗記しましょう。あとはその数字を2倍するだけでF1.4・F2・F2.8・F4・F5.6とすべてのF値を覚えることができます。
今後露出の計算をマニュアルで行うときに必ず必要になる知識です。
F値を操作するときは一般的な呼び名としてこのように言うことが多いです。
F値に関する用語
「絞りを絞る」というのも変な日本語ですが、業界ではみんな使います。恥ずかしくありません。連呼しましょう。
ほぼすべてのカメラマンが大きく分けて2の理由でF値を変更します。
F値を変更する理由
この2つと考えて問題ありません。F値は一眼レフ初心者の方にはとっつきにくく難しいと感じるかもしれません。まずは自分が撮影するときにこの2つのどちらかを変えたい時にFを値を変更すると覚えましょう。
F値は小さいほどピントの合う範囲が狭くなります。これが【背景がボケる】と言われれる理由です。実はこれは不正確です。正確には【前景と背景の両方がボケる】です。
対してF値を高くするとピントの合う範囲が広くなります。前景も背景もボケにくくなります。F値を大きく設定してすべてにピントが合っている状態を【パンフォーカス】といいます。
F値を変えると被写界深度(ピントの合う範囲)が変わり作風を変えることができます。それだけなら良いのですが困ったことにシャッタースピードが変わります。
どれだけ完璧なF値の設定ができても手ブレした写真になってしまっては元も子もありません。Fとシャッタースピードの関係性はこちら!
絞りが1段変わるとシャッタースピードが倍変わります。考え方は単純で絞りを1段絞るとカメラに入る光の量が半分になるので、シャッタスピード(光をカメラに入れている時間)も倍にしなければいけないということです。
シャッタースピードは1/画角(mm)が限界値とされているので、50mmの画角でしたら1/50秒より遅いと手ブレを起こします。デジタル一眼レフのAPS-C機ですとその1.5倍の1/80秒が限界値となります。F値が低いレンズが人気なのはこれによるところが大きいです。
レンズは中央部分が最も性能がよく、キッチリと像を作ることができ髪の毛1本も表現できるシャープな写真になります。そして中心から外に向かうほど性能は悪くなりモヤモヤっとしたものになります。
高価なレンズほど中央と端の性能差が少ないですが、これは構造上の問題なのでどんなレンズでも中央が一番性能がよく、端は中央に劣るのは避けられません。
絞りを絞るとレンズの端部分を使用せずに、中央部分を使用するので解像度が良くなります。絞りは開放から1段絞って使うと言われるのはこのようなレンズの特性があるからです。
では絞りを絞るほど高画質になるのか?
そうでもないところが絞り(F値)設定のむずかしいところです。
F値が高過ぎるとレンズの中で回折現象が起こります。
これは光が波を同じ性質を持つことが原因で、絞りを絞り光の入り口を小さくすると絞りの羽の裏側に光が回ってしまう物理現象です。小絞りボケとも呼ばれています。
理想光のみを撮像素子と呼ばれるセンサーに受光できれば解像度の高い画質を得ることができますが、回折光によって適切に光がセンサーに届かなくなりモヤッとした眠たい画像になります。どのF値を選んでも回折現象は発生します。しかしF値が低く絞りが大きく空いていれば理想光の総量が多いので回折光の影響は軽微です。対してF値を高くして絞りを絞ると理想光に対しての回折光の割合が大きくなり影響が増していきます。
被写界深度と回折現象はトレードオフの関係にあり、どちらかを選ぶ必要があります。ここは意見が別れるところですが多少の解像度を犠牲にしてもしっかりと被写界深度を深くした方がよいと考えています。
F22以降では顕著に発生するので、広角の撮影でもパンフォーカスが取れているのなら必要以上にF値を上げないことをおすすめします。
開放F値はレンズの周辺部分を使うので画質が悪い、絞り過ぎても回折現象で画質が落ちる。これがF値選択の悩みどころ。
ではどのF値が【最高画質】なのか。実はデータがあります。
こちらのデータを分かりやすく整理してみました。
例えば私が使っている標準レンズのAF-S 24-70mm F2.8の24mm画角の最高画質はF4〜5.6の間になります。純粋な画質だけを考えるとこの範囲のF値を使用します。
しかしF4-5.6の絞りを選択するとかなり浅い被写界深度となります。ほしい被写界深度にならない時は画質を犠牲にしてF8以降を選択します。
スタジオでの商品撮影では手前から奥まですべてをピントの範囲内の収めることもありますので、F16〜22も多用します。
レンズの最高画質を基準に考えると撮影の選択肢は限りなく減ります。不必要に絞り過ぎないということだけ心がけていれば大丈夫です。
何を基準に高画質と捉えるは人によって異なります。例えば一眼レフを始めたばかりの人はF値を少し高めにしたほうが安全です。
値が高いほどピントの合う範囲が広いので若干ピントを外してもピントが合っていないということがないからです。
どの画角でのF値なら、どの程度の被写界深度になるのかの感覚は数年一眼レフで仕事をしていても身につかないものです。
F値が低いほどピントを合わせるのが難しくなるので撮影技術が必要となります。
口径食とはボケけかたの綺麗さです。直線的に入ってきた光はキレイな円を描きますが、レンズの縁の方から入ってきた光は図のように歪な形になります。
絞りを開いた状態ほど角度のついた入射角が増えるため口径食が起こります。対して絞りを絞ると角度のついた入射角は遮られるため、口径食は起こりません。
F値が低いほど歪な円になり、F値が高いほど小さく綺麗な円になります。
丸ボケを使った写真撮影は絞りを開けないとできませんので、絞りを空けても口径食の出にくいレンズが「良いレンズ」と評価されたりもしています。
F値が小さいほどボケ、高いほどボケにくい。たしかに事実ですがF値はこのように写真撮影に様々な形で関係してきます。
最初は被写界深度とシャッタスピードだけを気にするだけで問題ありませんが、知識として知っておくとF値の選択肢が増えます。
口径食などF値によって写真が荒れる仕組みなども理解していると、自分にあった良いレンズのを選ぶこともできるようになります。
一眼レフの基礎知識の中でかなり難しい絞り(F値)ですが、使いこなせれば写真撮影のすべての面で役に立ちます。
この記事が役にたったら
いいねしよう!
Facebookで最新情報をお届けします。
Leave a Reply