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『成すも成さぬもないのだが これまでもこれからも』(鷲崎健/KADOKAWA)
【今回取り上げる書籍】

『成すも成さぬもないのだが これまでもこれからも』(鷲崎健/KADOKAWA)


 最初は、単純に一ファンとして手にした本でした。

 今回紹介する『成すも成さぬもないのだが これまでもこれからも』は、ラジオパーソナリティ司会者として活躍する鷲崎健さんの初の単行本となるエッセイ集です。正直、書評で取り上げたりするつもりもなく、ただの道楽読書として、椅子にだらしなく腰掛けて駄菓子をドクペで流し込みながら読み始めたのですが、おやおやこれが想像以上の良書じゃないですか。居ずまいを正しつつ、付箋を貼りまくっているうちに気がつけば読了してしまった次第。

 本書の冒頭、鷲崎さんはこのように綴ります。

<「声優やアニメクリエイター、アニソンアーティストなどの方々をお呼びしてお話を伺ったりするラジオ、通称アニラジと呼ばれる業界で日々喋ったり笑ったりする仕事をしております」

 と、こう自己紹介してなるほどとすんなり頷かれることはまず無い。たいていの場合、じゃあアナウンサーさんなんですか? アニメ関連のライターさんなんですか? と聞かれいやいやともう一度同じ説明をするはめになる。すると怪訝そうな顔でなるほど仕事の内容はわかった。で、お前の職業はなんなのだと問われてしまう。

 だから!

 ラジオで喋るのが仕事なんだよ! と語気荒くなりそうになる所をぐっとこらえる>

 一般的に、ラジオパーソナリティという肩書きを持っている人は、他に本業たる別の肩書きを持っているもの、と語る鷲崎さん。言われてみればたしかに、アナウンサー、俳優、お笑い芸人、歌手、評論家といった肩書きを持つ人が実績を積み重ね、一定の知名度や評価を獲得した後、ようやくラジオ番組なりを任されて、ラジオパーソナリティというタグが後から付け加えられるというのが、よくあるパターンなのかもしれません。鷲崎さんは「ラジオパーソナリティとは普通、本職にプラスされる『その他』の部分なのだ。職業『その他』の人間です、と言われたらそりゃ面食らいますわね」と書中で語ります。

 この“職業・その他”である鷲崎さん。アニメ系のラジオ番組のパーソナリティや、イベント司会などで引っ張りだこの存在。お時間があれば、ためしにウィキペディアをチェックしてみてください。これまで携わってきた、また現在携わっている番組やイベントが膨大に列記されています。アニメ業界周辺では、確たる存在感を放っている敏腕MCなのです。