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『妹さえいればいい。』 感想、僕らはみんな主人公になりたい!


妹さえいればいい。1巻〜4巻 感想

 『僕は友達が少ない』の著者:平坂読先生と、『変態王子と笑わない猫。』のイラストレーター:カントク先生のタッグが送る新作ノベル『妹さえいればいい。』の4巻が発売された。もう、1巻が発売されてから1年経つんだなぁと思うと早いけど、1年で4冊出しているのだから刊行ペースは結構早いなと毎度感心させられる。それに、ついにドラマCDにもなったし、アニメ化もそう遠くはないんだろうなーと思うほどの勢いを感じる。だって、話題性だけじゃなくてめちゃくちゃおもしろい!からね。

 確かにカントク先生の描くキャラはとてもかわいい。『妹さえいればいい。』の人気を支える大きな要因でしょう。僕も可児さんのかわいさに毎巻悶絶し、ただただ天を仰ぐのみ。主人公のことが好きで好きでしょうがないヒロインってのはね、無条件でちょーかわいいんです!

 でもね、そんな圧倒的なイラスト力に負けず劣らず話もとてもおもしろい。キャラ良し、ギャグ良し、下ネタ良し、ストーリー良し。『俺ガイル』以来の逸材に出会いました。この出会いに感謝するぜ!可児那由多さんという大天使に出会えたこの素晴らしい世界に祝福を!


妹バカの小説家・羽島伊月の周囲には、いつも個性的な連中が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。鬼畜税金セーバー・大悠アシュリー。天才イラストレーター・ぷりけつ―。それぞれ迷いや悩みを抱えながらもゲームをやったり旅行に行ったり仕事をしたり賑やかな毎日を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、大きな秘密があって―。『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ青春ラブコメの到達点、堂々開幕!!




 この作品、小説家である主人公・伊月が超ド級の妹キチガイで正直言って頭おかしい(褒め言葉)の一言に尽きるのだけど、ヒロインの可児さんも全裸至上主義の変態さんで、「誕生日プレゼントは自分なら何が欲しい?」と主人公に問われるやいなや、「先輩のお○ん○ん!」と即答する変態力を発揮していて実に笑える。4巻の挿絵なんて、もう可児さん限界突破してましたからね。完全に昇天してます。そんじょそこらのエロ漫画よりはるかにエロい。そう、可児さんはエロい。(←これが大事。)


可児さんはかわいい。


 なんだこのパラダイスは・・・。最高にニヤける。ホントね、「なにやってんだろ あたし・・・」である。華やかでリア充のような外見をしながら交際経験はゼロで純情な京ちゃんはハッキリ言って、圧倒的なヒロイン力を秘めているし、誰かの為に本気で泣いてあげられる心の綺麗さはまさに天使そのもの。

 裸至上主義の可児さんに比べて、健全に恥じらいを見せるところはもう約束された至高のヒロインと言わざるを得ない。結局、可児さんによって脱がされるんだけど、京ちゃんの全裸には恥じらいがあるからね。赤面と恥じらいこそがおんなのこを輝かせるスパイスなのです。可児さんが痴情に舞い降りた天使なら、京ちゃんは地上に舞い降りた天使です。

 そう、京ちゃんは可児さんの圧倒的かわいさに肉迫するほどの破壊力を秘めているのは事実。でもね、我々は可児さんに感謝をしなければなりません。なんせ、京ちゃんのサービスシーンが見れるのも可児さんのおかげだからね。そう、つまり京ちゃんがかわいいのは可児さんがエロいからなのだ!(超理論)


 しかし本当にこれ、将来アニメ化出来んの...?ってくらいに息を吐くように下ネタを連呼したり全裸になったりする可児さんのかわいさには思わずおニヤけしてしまうし、伊月と可児さんの掛け合いが声に出して笑っちゃうくらいおもしろい。

 ピー音なしじゃまず放送できないレベルの会話が繰り広げられていて、頭のネジ2,3本飛んでんじゃないの...?ってくらいの自由な会話劇にはひたすらニヤニヤさせられます。もうね、1巻から本当におもしろくて、毎度続きが気になって仕方ない終わり方をするもんだから、次の巻が出るまで悶々とさせられる日々を送らされること必至。


 1巻を読んだ時の率直な感想は、主人公に好意を持つヒロインが複数登場するけど、結局ラブコメ的には最後は妹が大勝利するんだろうなーと。妹が本当の性別を主人公(兄)に隠しているため、今はまだ弟だと誤解しているけど、秘密がバレたら妹エンドまっしぐらなんだろうなーと。正直に言って、可児さん大好きの僕としてはこんな出来レースあんまりだよ!って思ったものです。

 ところがどっこい。3巻で大勝利ヒロインが選出されるのだ....!そう、もちろん可児さんである。「一流の作家になったら、俺の方から告白するつもり」というセリフを伊月が発した瞬間、全可児さんファンは大勝利を確信した...!伊月と可児さんは両想いだ...!『妹さえいればいい。』だって...?違う、違う。可児さんさえいればいい!のだよ。


3巻までのラブコメ相関図

 3巻の時点での相関図をやっつけで作るならばこんな感じ。えぇ、良い感じに多角関係をこじらせているんですが、いざラブコメ戦線の開幕かと思った矢先、主人公・伊月の口から可児さんの大勝利を告げるセリフが飛び出しちゃうってんだから凄い。ラノベによくあるハーレムラブコメかと思いきや、京ちゃんが戦地に赴く前に可児さんの大勝利が決定してしまうという、読者も驚きの展開でしたからね。
 

 加えてこの作品、完全にギャグ路線の中に多角関係の恋愛要素が絡んでくるよくある王道のラブコメを突き進んできたかと思えば、3巻で完全に化けました。「主人公になりたい」――3巻で語られる主人公・羽島伊月の原点にはただただ鳥肌が立った。小説家・羽島伊月の出発点と妹にこだわる理由。笑いと萌えだけではない。3巻では切なさと燃えが加わり、ただただおもしれぇ.....と思わされた。僕が求めていたラブコメはこういうのだったんだよ!って思わず唸ったね。完璧なまでにツボをおさえてくるストーリー展開がたまらなく素晴らしいのだ!








作家・羽島伊月の原点(3巻 感想)


“・・・・・・ちくしょう。

・・・・・・・・・・・主人公になりたい。

――小説を書いてみよう。

妹キャラがとにかく大好きで妹がメッチャ欲しいという愛や欲望や幻想を、

甘酸っぱい慕情を、苦々しい失恋を、痛々しい失敗を、

普通のことが普通にできない劣等感を、大嫌いな自分への苛立ちを、

ままならない現実への憤りを、不条理な世界への怒りを、

鬱屈した思春期の迸りを、主人公になりたいという渇望を、願望を、

あらゆる不条理を叩き潰す圧倒的な希望を、夢を、祈りを、叫びを!

自分の中にあるすべてを小説にぶつけてみよう。

見ていろ世界。僕が――いや、俺が主人公だ。”
『妹さえいればいい。』第3巻P223-225


 中学2年生の羽島伊月は学校で独りぼっち。授業が終わるとすぐに家に帰り、部屋でずっと本を読む毎日を送っていた。そんな彼に訪れたのは当時高校1年生だった三田洞彩音さんという女性との出会い。毎週自分に会いに来てくれて、一緒に遊んだり、本の話をしてくれるその女性に羽島伊月は恋をした。そんな伊月は彩音さんに告白をし、振られます。「弟みたいって思ってた。そして、これからも弟としか見れそうにない」と。彩音さんにとって、自分は対等の男女ではなくあくまでも気遣うべき「弟」だったのだという事実をまざまざと突きつけられる。



 1巻発売時にこういうつぶやきをTwitterでしたのだけど、元々「妹」ものに惹かれていたとはいえ、主人公がここまで「妹」というものに対して盲目的な狂信っぷりを見せるのは、「お姉さん」への失恋も関わっていたのだなとわかる話が3巻で描かれたのですごく納得のいくものだった。


 そして、ダブルパンチなのが、彩音さんにも想い人がいて、その人に告白をして振られていたこと。伊月にとって三田洞彩音は物語のヒロインのような存在だった。でも、そんな彼女でさえその男の物語ではヒロインどころか脇役でしかなかった。なら自分は何なんだと。脇役どころか端役ですらないじゃないかと。世界の大きさと自分の小ささを知ることになります。そして、そんな現実に直面した伊月が出す答えが「――小説を書いてみよう。」だったのは素直に痺れた。

 好きだったお姉さんに振られる――周りから見ればこの広い世界の本当に小さな出来事でしかない。でも、羽島伊月とっては自分の原点となる、世界で最も大きな出来事なんだ。そう感じさせるほど、羽島伊月の過去は思わず唸るぐらいのエピソードだった。


 僕にとって、主人公に共感できるかどうかは作品を読む上での重要なファクターです。その点で言うと、普段の伊月は変態でめんどくさくて小さい男だと思わされるんだけど、誰よりも等身大で一本筋が通っているところはとても好感が持てる。どっかのライトノベルの主人公みたいにかっこいい魔法が使えたり、優れた剣術が使えるわけじゃない。大きな世界の中にいる小さな人間の一人に過ぎない。でも、書く事だけが自分を主人公にしてくれる。どんな不可能をも可能にする物語の主人公に。

 「主人公になりたい」と願う伊月は自分がまだ主人公ではないと思っている。だからこそ、今の自分では遥か先を行く天才作家・可児那由多の隣を歩くことは出来ない。何者でもないただの端役以下の自分ではいられない。可児那由多に釣り合う作家に――主人公になるまで彼女と付き合わないと宣言する伊月はなかなかどうして、どんなライトノベルの主人公よりも最高にかっこよかった。大事なところでヒロインに対してきちんと筋を通すところは昨今のハーレムラブコメ作品たちも見習ってほしいくらいのかっこよさ。近年でもトップクラスに好感が持てる主人公がそこにはいました。




天下分け目のラブコメ合戦


 主人公の熱い決意に燃えに燃えられるのが『妹さえいればいい。』のすばらしいところだけど、やっぱりラブコメの行方がどうなるのかってのが僕ら読者の一番の関心所ですからね。ヒロインのかわいさに萌えることこそが、ラブコメの醍醐味なり。

 

 冒頭の方でも述べたとおり、主人公伊月のハートは可児さんの方に向いています。可児さんは伊月に対して気持ちをグイグイ伝えるタイプだけれど、京ちゃんは奥手で一歩引いちゃってるていうのがねぇ...。ラブコメという戦場において京ちゃんは優しすぎる。

 ただでさえ、伊月の気持ちは可児さんにガッチリ持っていかれてる上に、真の妹がまだその正体を明かさずに虎視眈々とヒロインの座を掴むチャンスを窺っているというのに、京ちゃんは可児さんに遠慮して、土俵にすら立ててないのです。伊月と可児さんのラブラブ劇を端から見つめるサブキャラで終わって本当に良いのか...?いや、いいはずがない。誰だって、本当は主人公になりたいはずだから!

 この作品がここで終わるはずがない。京ちゃんの反撃には期待せざるを得ないんですよ。僕は可児さん派だけど、報われないオーラを漂わせる京ちゃんを見ていると応援したくなってしまうし、何よりもライバルは強い方が燃えるじゃない!

 今は、可児さんという最強ヒロインの一強時代ですが、真の妹(ヒロイン)・千尋さんがそのベールを脱ぎ、弟ではなく妹だと伊月が気づいた時、必ず世は乱世になる。メインヒロインの座を賭けた恋の戦国時代に突入するでしょう。そうなればまさに混戦。そこで、立ち上がればほら、京ちゃんにも勝機はあるじゃん...!

 早々に諦めて、春斗と上手くいっちゃうとかいう「え・・・」的展開は悲しみしか生まないのです。逃げることで向かうのはサブキャラエンド。主人公になりたいなら、立ち上がるしかない!本気を出した京ちゃんがどうやって活路を見出していくのかを見守るのが最高にニヤニヤ出来るラブコメの楽しみ方ですからね。


 我々、可児さん派も最強の挑戦者・妹に立ち向かわなければなりません。4巻のラストを見る限りリアル「妹」の存在が伊月にもたらす影響力はおそらく尋常ではないものになるでしょう。『妹さえいればいい。』というタイトルは確かに強烈なインパクトで僕ら可児さん派の心を揺さぶってきます。しかしです。「妹さえいればいい。」伊月がそれでも、「結婚したいほどに好きな想い人」・可児那由多というヒロインを選ぶことの出来る主人公だという希望の片鱗が3巻で見えました。。妹を超えたその時、可児さんは真の意味で最強のヒロインとなる!今後も当ブログは可児さんの恋を全力で応援します!




結論:可児さんはかわいい!(エロい。)




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