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【大相撲】

稀勢の里 万全勝

2016年3月21日 紙面から

稀勢の里(左)に寄り切りで敗れる勢=エディオンアリーナ大阪で(布藤哲矢撮影)

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◇春場所<8日目>

(20日・エディオン アリーナ大阪)

 全勝対決は大関稀勢の里(29)=田子ノ浦=が勢を寄り切って勝ち越し、単独首位に立った。綱とりの大関琴奨菊は小結栃煌山を押し出し、1敗を守った。横綱は白鵬が関脇嘉風を寄り切って7勝目。単独史上3位となる通算965勝目を挙げた。鶴竜も碧山を寄り倒して1敗を堅持し、日馬富士は蒼国来を退けた。かど番の両大関は豪栄道が栃ノ心をはたき込んで7勝目を挙げたが、照ノ富士は隠岐の海の肩透かしに屈して3敗目。

 立ち合いでグッと踏み込み、勢に全ての圧力をかける。攻め手を緩めない稀勢の里は、左四つから万全の寄りで仕留めてみせた。

 全勝対決を制しても「まだまだ、これから」と気を引き締めるが、8日目での単独トップは自身初。あとは悲願の初優勝へ突き進むだけだ。

 7月に30歳となる稀勢の里のキーワードは『原点回帰』だ。貴乃花に次ぐ史上2位の若さ(18歳3カ月)で新入幕したのは、もう12年も前の2004年九州場所。そのころの稀勢の里は並外れた馬力を武器に番付を駆け上がっていた。

 「まずは当たって圧力をかける。それがあいつの売りでしょ。上がってきたときも、それで勝ってきたんだから」と師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)。琴奨菊が初優勝を飾った初場所後に2人で話し合い、稽古時に付け人にスマホで動画を撮らせてチェックするなど、立ち合いの改革に取り組み始めた。「これまでは、押されないよう止める立ち合い。今場所は立ち合いが変わった」と師匠のその成果を感じつつある。

 8日目の勝ち越しは2013年夏場所以来。この3年間で何が変わったのか。「年齢が違う。若かったからね。だいぶ久しぶり」といたずらっ子のような笑みを浮かべた。ただ、そう言ったあと「いろいろ積み重ねたものがある」と自信を見せた。早熟と思われた稀勢の里だが「晩成タイプと思ってます」と自分自身ではそう分析する。晩成だった先代師匠(元横綱隆の里)から「しっかり鍛えられた部分がありますから」と話す。

 そういえば、先代師匠が全勝で初優勝を決めたのも、今の稀勢の里と同じ29歳の82年秋場所だった。このまま優勝へと導かれていくような気がしてきた。 (岸本隆)

 

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