「男はモテるためにウソをつくが、女は自分を守るためにウソをつく」
テンプル大学は卒業していないが、テンプラを揚げるのが上手いワタクシが、今、勝手に作った名言である。が、案外当たっている気もする。
さて、春休みの連休ということもあり、たまには家族サービスをしようと、家族でシネコンで映画を観て、その足でワタクシの実家にやってきた。
たまにしか会えない孫を抱く年老いた両親の嬉しそうな顔を見ると、息子も嬉しいものである。一緒にご飯を食べて孫と遊び、大満足した老人達は一足早い幼稚園の入園祝いだと、諭吉の入ったポチ袋を娘に手渡した。
すかさず、嫁は
「娘氏の銀行口座に入れとくからね♪」
と、娘の手から油揚げをさらうトンビのようにポチ袋を素早く奪い取った。
娘が生まれたときから、お祝いやお年玉は、嫁が娘名義の銀行口座を作って入れておくと自ら管理を申し出たので、すべて任せていた。
ところがワタクシは知ってしまった。以前、クローゼットの中の肥やしを整理していたときに、嫁の領地の奥深くに隠されていた紙袋から、今までもらったお金が祝儀袋に入ったまま隠されていたことを。
そして、一部は白骨死体のように現金だけ抜き取られ、袋のみの無残な姿となっていた。
ワタクシは息をするかのようにウソをつくホラッチョ嫁に対し、怒りに震えながら、D・カーネギー先生の名著「人を動かす」を手に取った。
嫁を説得する十二原則④
おだやかに話す
人をむりに自分の意見に従わせることはできない。しかし、やさしい打ちとけた態度で話しあえば、相手の心を変えることもできる。
「人を動かす」196ページより引用
なるほど。ここはおだやかにいってみよう。
ワタクシは、嫁を非難することもなく、
「どれどれ、いくらもらったの?」
とやさしくポチ袋を手にとって中身を確認してみた。
諭吉が3兄弟になっていることを確認し、至極おだやかに
「これは、お父さんがちゃんと持っておいてあげるからね♪」
と胸ポケットにしまった。
その瞬間、家事をしないので程よく伸び、娘からクスねた金でネイルサロンでキレイに仕上げられたトンビの爪が、鋭利な刃物となってワタクシの喉元に飛んできた。
かつて闘魂三銃士、橋本真也が多用した袈裟斬りチョップである。ワタクシは命のキケンを感じながら、必死にガード体勢からの幸せチョップで応戦するも、嫁の執拗な頚動脈への打撃で戦意をそがれ、燕返しでポチ袋を奪い返されてしまった。
大阪人の金への執着は、D・カーネギー先生の想定をも上回っていたようだ。しかし、ワタクシはこれも何かの運命として受け入れるつもりでいた。
というのも、傍で笑って見ていた年老いた母も、若かりし頃、ワタクシのお年玉を銀行口座に入れておくと10年以上に渡って、子供から金を略取し続けたお方だ。
預金通帳なるものの存在を知った少年のワタクシが、通帳を見せてくれと必死にお願いしても、あるハズの通帳が一度も出てくることはなかった。そして、金も戻って来なかった。
こうして、オレオレ詐欺に決して騙されないが、還付金詐欺にはコロっと騙される大阪人が生まれるのである。
娘もいずれは、社会の厳しさを母から学び、金に異常な執着を持つ女になるのだろう。果たしてそれが幸せなのかはわからない。ただ、母のしていたことを事実として、ありのままに娘に伝えようと思う。
そんなこんなで、娘からショボーク・K(カネ)・クスネテール嫁氏は、臨時収入の諭吉を持って、まつ毛エクステにでも行くのだろう。以前から、どこにそんな金があるのだろうか?と不思議に思っていたのだが、やってることはただのショーンKであった。
女が自分を守るために平気でウソをつく生き物であるということは、アラフォーのオッサンともなれば、大概は香川の女から学んで理解している。嫁を今さら追及する気などさらさらない。
ただし、歳を重ねるごとに、ウソがバレた時に泣き叫んでも、許してもらえなくなることをしっかり胸に刻んでおかれることをオススメする。信用を失ったショーンKの今後の活躍を期待しよう。