ロックの定義とは単純明快である。
「自分がロックだと思ったらそれがロック」
これは、アイドルマスターシンデレラガールズ19話で、
多田李衣菜が宣言した言葉だが、
別にこれは多田李衣菜が発明した言葉ではない。
だれが言い始めたかその歴史を辿ることはしないが、
ロックの世界では散々言われてきた言葉である。
彼女は、たいしてロックを聴いていないのに、
高いヘッドフォンをして格好つけることがアイデンティティな、
にわかロックな痛い姿が売りのキャラだが、
だからこそ、このロックの本質にたどり着いたのだろう。
僕が出会ったロックの話をしよう。
僕は女子のロックにもやもやしたものを感じていた。
昔、ロックスターは必ず男性だった。
カートコバーンもBOB DYLANもチバユウスケも男性だった。
そこからいろんな女の子が立ち上がった。
GO!GO!7188、椎名林檎、チャットモンチー。
ZONE、SCANDAL、放課後ティータイム、LiSA。
大きな転換点は、チャットモンチーだと思っているが、
それはそれとして、果たして女子のロックスターは生まれたのだろうか。
しかし、僕はある日、女子のロックの理想に出会った。
なぜか、アイドルのライブで。
アイドルマスターのSSA(さいたまスーパーアリーナ)のライブで。
◇
当日、僕は今回新規参加したミリオンライブメンバーの可愛さと
歌のうまさにほれぼれしていた。
特に今や活躍が目覚ましい北沢志保役の雨宮天は素晴らしかった。
90年代っぽい切ないアイドルソング「ライアールージュ」を、
緊張の中でダンスさえまじえて歌いきった。
後ろに北沢志保を思い浮かべる必要はなかった。
彼女はE-girlsやAKBにいても違和感のない美少女だったからだ。
しかし、本当に凄かったのはその後だった。
生演奏の一切ないアイドルのステージで、突然無骨なギターの音が響き渡った。
ジュリア役の愛美がアンプが繋がったギター、
ただそれだけを抱えて、ステージにひとり立っていた。
バックバンドはでてこなかった。愛美は一人でギターを抱えて弾き語りを始め、
その後は音源の演奏に合わせてギターをかき鳴らし、歌った。
空気が、変わった。
アイドルのライブはその瞬間だけ、ロックのライブに変わった。
サイリウムを僕らは戸惑いながら痙攣のように細かく振り、
お決まりの「はい」「はい」というかけ声は8ビートにあわず酷く遅れていた。
◇
1:25:00付近
昨日のニコニコ生放送でも、この場面は最高に盛り上がった。
真っ赤な色(ジュリアの色)のコメントが、
みなこの瞬間の空気と衝撃を褒めていた。
僕はこれが、理想の女子のロックだと思った。
ドラムも、リードギターも、ベースもいない中で、
たった一人でステージに立ち、
録音した伴奏にあわせてギターを弾いて歌った。それは新しかった。
まるでスーパーカーがドラムが買えないから、
バケツを叩いて曲を録音するような初期衝動に溢れていた。
彼女の姿は強烈な印象を残した。
愛美の演奏した「流星群」の収録されたCDは、会場で売り切れた。
帰りの電車に向かう中で「愛美やべーな」という声をなんども聞いた。
僕はその一人一人に声をかけて説明して回りたかった。
君が今感じている胸のときめきは
アイドルのときめきであると同時にロックのときめきであると、
説明して回りたかったのだ。もちろんしなかったが。
◇
事務所はLiSAみたくアニメに親和性の高いロックアーティストとして、
愛美を売り出そうとしていたのかもしれない。
しかし、ひょんなことからアイマスのメンバに加入することになった。
本当は不本意だったかもしれない。
まるでシンデレラガールズ19話で、本当のロックに触れて、
本当のロックがやりたいと思った多田李衣菜のように。
けれど、本当のロックとは本当のロックではない。
ロックとは多数決でもなければ歴史でもなければ楽器のうまさでもない。
ロックとは初期衝動であり、感情の爆発であり、そして、主観である。
ロックアーティストからアイドル声優になった愛美は、
会場やら演出やらの兼ね合い上、
バックバンドをつけられず、仕方なく一人で歌うことになった。
しかし彼女はギターを持っていた。
彼女の歌い方はロックっぽい艶めきがあった。
彼女のギターはうまいとか下手ではなく、感情がこもっていた。
彼女はとても可愛かった。
それらが全て合わさったとき、気まぐれなロックの神様が宿った。
彼女がロックアーティストとして生きていたら、
後ろにバンドがいただろうし、
オタク達の前で歌って空気を変えることもなかっただろう。
だからこれは、気まぐれな奇跡なのだ。
あずにゃんが外バンではなく、放課後ティータイムを選んだように、
多田李衣菜がみくとのアスタリスクを続けることを選んだように、
ジュリアはロックアーティストではなくてアイドルを選んだ。
そしてそれは、本当のロックを選ぶよりロックだったのだ。
「お前はアニメにハマってロックが分からなくなったんだ」
そうかもしれない。そうなのだとおもう。
けれど、それでかまわない。
僕がロックだと思ったらそれがロックなのだから。
僕はアイマスのライブの一瞬、愛美の姿に心を奪われた。
それは、GO!GO!7188よりも可愛らしく、
それは、椎名林檎よりも肩の力が抜けていて、
それは、チャットモンチーよりもエモーショナルで、
それは、ZONEよりも艶やかで、
それは、SCANDALよりも生々しくて、
それは、放課後ティータイムよりも現実で、
それは、LiSAよりも初期衝動に溢れていて、
それは、僕の思い描く理想の女子ロックだったのだ。
昔、ロックスターは必ず男性だった。
カートコバーンもBOB DYLANもチバユウスケも男性だった。
そこからいろんな女の子が立ち上がった。
GO!GO!7188、椎名林檎、チャットモンチー。
ZONE、SCANDAL、放課後ティータイム、LiSA。
大きな転換点は、チャットモンチーだと思っているが、
それはそれとして、果たして女子のロックスターは生まれたのだろうか。
しかし、僕はある日、女子のロックの理想に出会った。
なぜか、アイドルのライブで。
アイドルマスターのSSA(さいたまスーパーアリーナ)のライブで。
◇
当日、僕は今回新規参加したミリオンライブメンバーの可愛さと
歌のうまさにほれぼれしていた。
特に今や活躍が目覚ましい北沢志保役の雨宮天は素晴らしかった。
90年代っぽい切ないアイドルソング「ライアールージュ」を、
緊張の中でダンスさえまじえて歌いきった。
後ろに北沢志保を思い浮かべる必要はなかった。
彼女はE-girlsやAKBにいても違和感のない美少女だったからだ。
しかし、本当に凄かったのはその後だった。
生演奏の一切ないアイドルのステージで、突然無骨なギターの音が響き渡った。
ジュリア役の愛美がアンプが繋がったギター、
ただそれだけを抱えて、ステージにひとり立っていた。
バックバンドはでてこなかった。愛美は一人でギターを抱えて弾き語りを始め、
その後は音源の演奏に合わせてギターをかき鳴らし、歌った。
空気が、変わった。
アイドルのライブはその瞬間だけ、ロックのライブに変わった。
サイリウムを僕らは戸惑いながら痙攣のように細かく振り、
お決まりの「はい」「はい」というかけ声は8ビートにあわず酷く遅れていた。
◇
1:25:00付近
昨日のニコニコ生放送でも、この場面は最高に盛り上がった。
真っ赤な色(ジュリアの色)のコメントが、
みなこの瞬間の空気と衝撃を褒めていた。
僕はこれが、理想の女子のロックだと思った。
ドラムも、リードギターも、ベースもいない中で、
たった一人でステージに立ち、
録音した伴奏にあわせてギターを弾いて歌った。それは新しかった。
まるでスーパーカーがドラムが買えないから、
バケツを叩いて曲を録音するような初期衝動に溢れていた。
彼女の姿は強烈な印象を残した。
愛美の演奏した「流星群」の収録されたCDは、会場で売り切れた。
帰りの電車に向かう中で「愛美やべーな」という声をなんども聞いた。
僕はその一人一人に声をかけて説明して回りたかった。
君が今感じている胸のときめきは
アイドルのときめきであると同時にロックのときめきであると、
説明して回りたかったのだ。もちろんしなかったが。
◇
事務所はLiSAみたくアニメに親和性の高いロックアーティストとして、
愛美を売り出そうとしていたのかもしれない。
しかし、ひょんなことからアイマスのメンバに加入することになった。
本当は不本意だったかもしれない。
まるでシンデレラガールズ19話で、本当のロックに触れて、
本当のロックがやりたいと思った多田李衣菜のように。
けれど、本当のロックとは本当のロックではない。
ロックとは多数決でもなければ歴史でもなければ楽器のうまさでもない。
ロックとは初期衝動であり、感情の爆発であり、そして、主観である。
ロックアーティストからアイドル声優になった愛美は、
会場やら演出やらの兼ね合い上、
バックバンドをつけられず、仕方なく一人で歌うことになった。
しかし彼女はギターを持っていた。
彼女の歌い方はロックっぽい艶めきがあった。
彼女のギターはうまいとか下手ではなく、感情がこもっていた。
彼女はとても可愛かった。
それらが全て合わさったとき、気まぐれなロックの神様が宿った。
彼女がロックアーティストとして生きていたら、
後ろにバンドがいただろうし、
オタク達の前で歌って空気を変えることもなかっただろう。
だからこれは、気まぐれな奇跡なのだ。
あずにゃんが外バンではなく、放課後ティータイムを選んだように、
多田李衣菜がみくとのアスタリスクを続けることを選んだように、
ジュリアはロックアーティストではなくてアイドルを選んだ。
そしてそれは、本当のロックを選ぶよりロックだったのだ。
「お前はアニメにハマってロックが分からなくなったんだ」
そうかもしれない。そうなのだとおもう。
けれど、それでかまわない。
僕がロックだと思ったらそれがロックなのだから。
僕はアイマスのライブの一瞬、愛美の姿に心を奪われた。
それは、GO!GO!7188よりも可愛らしく、
それは、椎名林檎よりも肩の力が抜けていて、
それは、チャットモンチーよりもエモーショナルで、
それは、ZONEよりも艶やかで、
それは、SCANDALよりも生々しくて、
それは、放課後ティータイムよりも現実で、
それは、LiSAよりも初期衝動に溢れていて、
それは、僕の思い描く理想の女子ロックだったのだ。