鉄血のオルフェンズの世界でいう正しさとは何か。
今回24話で、マカナイを市街地に送り届ける為の
最後の作戦をオルガがみんなに伝えるシーン。
そこでオルガは鉄華団という一つの家族のために
個々人の命をチップにして、未来の報酬を手に入れようとみんなに伝える。
年端もいかない子供達に分が悪い命のやり取りを強いるオルガ。
そしてそのオルガの想いに強く共感する鉄華団。
狂信的ともとれる彼らの信念。
大人のメリビットは、命を賭ける作戦に反対する。
子供達を囮にし、みずみず命を失われる作戦は正しくないと。
しかしメリビットの正しさは、鉄華団には届かない。
最後、メリビットは子供達の姿を見て何も言えずただ泣くのみであった。
同じく大人のナディもまた間違っていることを知りながら、
彼らをフォローすることに徹する感じで見守る。
鉄血のオルフェンズを見ていると、
いわゆる「正しさ」では鉄華団を救えない事がうかがい知れる。
元々の母体が、火星の貧困層集団であるのが大きいのだろう。
彼らを救えるのが「正しさ」ではなく「報酬」(未来の報酬)だけなのである。
だから正しさ以上に、報酬に近づける考えがあればそれに従う。
キャッチコピーの「いのちの糧は、戦場にある。」を思い出してほしい。
この鉄華団の理念に関しては、このキャッチコピーが全てであり、
どんな手段でも戦いに打ち勝ってでしか、糧(未来の報酬)は得られない。
「子供の命が大事」というメリビットさんの「正しさ」では糧と報酬を得られない。
モラル的に間違っているとしても、そうまでして生きなければならないのだと。
鉄華団の敵であるMSと一体化したアインもまた「正しさ」から外れた存在になった。
(※本人が望む望まないにも関わらず)
ただクランク二尉の仇討ちに殉じ、クーデリアを亡きものにしようとする。
目的のために手段を問わない存在としてアインもまた浮上してくる。
こうして見ると味方・敵ともに、いわゆる「正しさ」から外れながら
彼らの思うように生きていく様が描かれる。
特に今回は特に鉄華団・テイワズメンバーの死が壮絶に描かれ、
正しさから外れた「未来の報酬」に対する代償の大きさがクローズアップされた。
そんな大きな代償を払うものの、それでも生きていかなければならないのが
鉄血のオルフェンズという物語なのである。
人の心を動かすのは正しさ以上に
間違っているようにみえても当人達を共感させる強き理念を描き
正しさ以上に大事なもの(信念)を描く。
そんな物語のように鉄血のオルフェンズの24話は感じられた。
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