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一橋を出てニートになりました

元編集者。過労で退職→ニート→派遣の底辺人生コンボ経験から、主に労働問題について書いています。

保育士の給料はなぜ安いのか(補足)

貧困・労働

先日書いた「保育士の給料はなぜ安いのか #保育士辞めたの私だ」について、反論をいただいたので、補足をしたい。

経営者だけど一橋を出てニートしてる人の記事が涙出るほど辛かったので少しだけ反論する

言いたいことは一言だけ。

貴方の施設が「認可保育園でない」なら、私の記事とは無関係です。

俺は保育園ではないが似たような施設を運営している。

保育でもないし介護でもない、今月上場した会社がやってるやつだ。この機会だから調べてみてくれ。

「保育園ですらない」なら尚更です。

だが、それだけでは何なので、再度、認可保育園について説明する。

認可保育園は特殊な施設

認可保育園は、他業種の施設とは違い、特殊である。

認可保育園がどれだけ特殊か、下の記事から引用する。

新規参入は断固阻止!!保育園業界に巣くう利権の闇|Close Up|ダイヤモンド・オンライン

たとえば東京都では、私立認可保育園で約30万円、公立では約50万円を、0歳児1人当たりの保育費用として毎月補助している。だから、月謝が安いのだ。

(中略)

儲けの裏技もある。私立認可保育園の職員の給与の支払いにも補助金が投入されているが、その額は、およそ世間一般での“大卒で30歳程度”に設定されている。

ところが、一部の私立認可保育園では、女性職員は30歳までに辞めるように仕向けつつ、なるべく若い職員を中心にして人件費を抑えている。実際の賃金と補助金との差額が、利得になるからだ。

園児1人あたり毎月30~50万の補助金がもらえる。
学習塾などと比較して考えれば、どれだけ儲かるか分かるだろう。
この点で、他業種の補助金をもらっている施設とは、事情が異なる。

人件費率は業種によって全く異なる

人件費率は、業種によって全く異なる。

売上高人件費率

キーワードで見る法人企業統計「売上高人件費比率」 : 財務総合政策研究所

売上高人件費比率の全産業平均は13%台である。

売上高人件費率は、サービス業の方が高くなる。

業種別売上高人件費率

要約版・速報版 | TKC経営指標(BAST)の数値を元に計算
保育園のみ福祉医療機構2014年度「保育所の経営状況について」から

このように、人件費率は業種間で全く異なる。
なぜなら、産業の構造が違うからだ。

そのため私は、認可保育園と他業種の人件費率を比べていない。

通常の企業が社員に払ってる給料が何割かわかるか? 「売上」の6割を人件費に回すってのがどれだけキツイか本当に分かってんのか。「利益」の6割じゃねえんだぞ。

経営者だけど一橋を出てニートしてる人の記事が涙出るほど辛かったので少しだけ反論する

だから、他業種の経営者に、なぜここで殴りかかられているのか分からない。

横浜市の株式会社が経営する、ある認可保育園の収支内訳

下図は、私が問題にしていた、認可保育園K園(A社)の収支内訳である。

認可保育園K園の収支内訳

株式会社立の認可保育園での保育所運営費使途の問題点について記者発表
(※共産党の資料を引用しますが、私に特定の支持政党はありません)

青い部分が人件費で、38.5%だ。

赤い部分の20.2%の説明は、下記を見てほしい。

A社は、給食調理、英語・体操等講師派遣、研修、保育材料・食材納入を各々子会社に発注し、その総額は、T園、K園とも、2700万円前後である。ここで利益を出していることは、当局も認めている。

さらに、紫の部分19.7%を、他園に資金移動している。

K園の職員俸給は、1人平均199万円である。

赤い部分は、本来は人件費に振り分けるべきなのは明らかだろう。

加えて、職員俸給1人平均192万円T園(C社)は、2011年度に総額1億4百万円もの投資有価証券を取得
さらに、C社課税所得は約2000万円で、事業収入1億円からすると暴利と言え、もっと人件費に振り分けるべきなのは言うまでもない。


このように私は、認可保育園の平均人件費率に比べて、「K園・T園という特定の認可保育園」の人件費率が低いのはなぜかについて話していた。

その議論に、保育園とは全く関係ない、他業種の施設の経営者が殴りかかってきても、それは筋違いだ。

そして、言うまでもないが、私は善意の経営者は批判していない。

前述のように儲けている認可保育園が、本来は人件費に充てるべき補助金を他の用途に充てるのはおかしいと言っているのであり、他業種の施設は関係ない。

おわりに

私は、あの反論記事は釣りだと思っている。投稿者は経営者ではないだろう。

ちなみに、「保育でもないし介護でもない、今月上場した会社がやってるやつだ」に該当する会社を検索すると、「管理職とそれ以外の給料の乖離がひどい」とか「給料が低くて転職した」とか出てくるが、釣りだと思っているのでここでは追及しない。

確かに、誤解されるほど、前の記事は分かりづらかったのだろう。
今後は、もっと分かりやすい記事を書くよう精進します。