蹴球探訪
フロンターレと陸前高田市
築かれた新たな絆
(3月16日)
【大相撲】宇良、十両倒して新十両見えた2016年3月19日 紙面から
◇春場所<6日目>(18日・エディオン アリーナ大阪) 西幕下2枚目の宇良(23)=木瀬=が十両の天風を送り倒しで破って無傷の4勝目を挙げ、来場所の新十両昇進に大きく前進した。大関稀勢の里は栃煌山を寄せ付けず無傷の6連勝。平幕の勢も宝富士を寄り倒した。逸ノ城が敗れ、土つかずは2人になった。綱とりの大関琴奨菊は危なげなく碧山を突き落とし、連敗を免れて1敗を守った。横綱陣は日馬富士が関脇嘉風に引き落とされ2敗目。白鵬は関脇豊ノ島を押し出し、鶴竜は栃ノ心を寄り切ってともに5勝目を挙げた。かど番大関の豪栄道は1敗をキープしたが、同じくかど番の照ノ富士は琴勇輝に寄り切られ、2敗目となった。 新十両を大きくたぐり寄せる、大きな1勝だ。身長172センチ、体重123キロの宇良は上半身を前にほぼ直角に曲げながら、184センチ、205キロもある天風の足を取りに行く。瞬時に後ろについて送り倒し。初日から4連勝で勝ち越しを決めた。目の覚めるような展開に館内も沸いた。 「技を正確に出すために勝ちたい気持ちを持ちながら、冷静に、焦らず(いけた)」 十両の取組を初体験した。幕下ではなかった塩を2度、取りに行ってからまく所作に緊張と戸惑いを感じたが「呼び出しさんが教えてくれた」と土俵下のバックアップに感謝した。勝ち越し、さらに新十両に近づく大事な一番。「あと一番というところまで来たんで、ずっとソワソワした気持ち。普段と全く違う気持ちが入ってきたけど、落ち着いて相撲を取ろうと思った」。取組が始まれば平常心に戻っていた。 低い体勢のまま粘れる強靱(きょうじん)な下半身が宇良の売りだ。大阪入りする前、東京の部屋で199キロある兄弟子の幕内臥牙丸にぶつかり稽古を志願した。最初は3本押しただけで息切れしたが、今では1日20分もこなす。師匠の木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は「もともと上半身は強いが、下半身はお相撲さんの筋力じゃなかった。脚なんか大きくなってきた」と成長ぶりに目を見張る。 一番の悩みは食の細さだ。ちゃんこでは師匠が隣で“監視”する中、白米を大きめの茶わんで2杯がノルマだ。木瀬親方が「食っても3杯。見とかないと2杯食わない。『これ2杯目です』って言って(茶わんの)中に米が入っていることもあった」と明かすほど、苦しい食の“稽古”にも励んでいる。 5勝目を挙げれば、新十両は確実だが「まだ終わってないんで。どんどん勝ち星を取っていけたら」と浮かれない。十両に上がってもしこ名は本名のままになりそうだ。 奇手「居反り」を得意とし、土俵に上がるだけで喝采を浴びる。昨春、地元大阪で初土俵を踏み、自己最高位での凱旋(がいせん)となればなおさらだ。遠藤や逸ノ城のように、角界の看板力士になる日も近い。 (永井響太) PR情報
|