韓国軍:「試験初成功」M-SAM、迎撃できるのはスカッドだけ

空中迎撃試験初成功が意味するもの
試射10発中8発が成功して初めて実戦配備が可能…最初の一歩を踏み出したということ
中距離弾道弾ノドンを防ぐには力不足

 韓国軍が今年2月、北朝鮮の弾道ミサイルを空中で迎撃する試験を初めて実施し、成功していたことが18日までに判明した。韓国軍は、敵の戦闘機を迎撃する中距離地対空ミサイル「天弓」の開発には成功していたが、北朝鮮のミサイルを空中で防ぐ技術はまだ確保できていなかった。このため、2012年から中距離要撃ミサイル(M-SAM)を開発してきた。20年の実戦配備が目標。今回の迎撃試験成功は、その第一歩を踏み出したということだ。実際に弾道ミサイルを標的に用いて迎撃試験を行ったのも、今回が初めてだという。弾道ミサイルは戦闘機より小さく、速度も数倍に達するため、空中で迎撃するのは難しい。

 しかし、韓国軍がこの先M-SAMの開発に成功したとしても、北朝鮮の全てのミサイルを迎撃できるわけではない、と専門家らは分析している。M-SAMは、最高速度マッハ7で飛来する北朝鮮の短距離弾道弾スカッド(射程300-1000キロ)を、高度4万メートル以下で迎撃するシステムだ。18日に北朝鮮が東海(日本海)に向けて発射した中距離弾道弾ノドン(最大射程1300キロ)は、最高速度がマッハ9-10に達するため、M-SAMでは力不足という評価がなされている。国策研究機関のある研究員は「北朝鮮は最近、ミサイルの射程や高度を自由自在に調節する技術を確保したとみられる。M-SAMでは、スカッド・ミサイルより高いところから、より速いスピードで落下してくるミサイルを迎撃するのは難しい」と語った。

 韓国軍は、高度5万メートル以上で敵のミサイルを防げる長距離要撃ミサイル(L-SAM)を20年代中盤までに開発したいとしているが、今の時点では研究初期段階。高度40-150キロで北朝鮮のミサイルを迎撃できる終末段階・高高度防空ミサイル(THAAD)の在韓米軍配備をめぐって韓米が協議に乗り出したのも、短距離ミサイルだけでなく、ノドンなど北朝鮮の中距離ミサイルの脅威に対応するためだ。M-SAMを実戦配備するためには、計10回の試射で8回成功しなければならない。今後さらに7回、迎撃試験をパスしなければならないということだ。M-SAM1部隊はランチャー4基と要撃ミサイル32発、レーダー、射撃統制所からなる。韓国軍は、20年までに20隊を実戦配備する計画だ。

チョン・ヒョンソク記者
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  • ▲北朝鮮の中距離ミサイルを空中で迎撃するため、韓国軍が独自開発した要撃ミサイル「M-SAM」を試射したところ。/写真提供=防衛事業庁

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