2016-02-28 写真で学ぶラオス事情
シリーズでお送りしているラオス旅行記の続き。
今日は写真を見ながら、ガイドの Tさんから聞いた話をあれこれご紹介。
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こちらはラオスの刑務所。
Tさん 「刑務所は街から離れたメコン河沿いの森の中や、中州の島にあります。
刑務所に入るのは、喧嘩(傷害)、事故、詐欺、泥棒などで捕まった人が多いです。殺人などの凶悪犯罪はまだ少なく、麻薬で捕まるのも国境付近の人だけです。
女性は売春や窃盗、三角関係による喧嘩などで入る人が多いと聞いています。
ラオスには死刑はありません。
終身刑がありますが、服役態度が良く、差し入れの一部を看守に渡すなど“行いが良い”と早く出られるので問題視されています。
刑務所では、農作業の他、カゴやセーターの編み方を教えるなど職業訓練も行いますが、長く刑務所に入っていて元の村や家に戻れなくなった人は、出所後、刑務所の周辺に住んで魚を釣ったり農業をして、刑務所に納める仕事につく人もいます」
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Tさん 「以前のラオスでは、木材や農作物を運んだり、畠を耕すクワを引くためなどに、象が使われていました。
でも農業や林業をやっていた人が、「象よりトラクターやトラックなど機械のほうが、エサも要らないし死なないしパワフルだ!」と考え、
次々と象をタイに売ってそのお金で重機を買うようになり、象が激減してしまいました。
ラオス政府はあわてて象の国外販売を禁止しましたが、その後、観光客を象に乗せて散歩するという観光メニューができ、象で外貨が稼げるようになりました。
昔は、まさか象で毎日何十ドルも稼げるようになるなんて、誰も想像していませんでした」
ちきりん 「自分にはたいしたモノだと思えなくても、他の人にとっては大きな価値がある」
それに気が付く能力が大事! ってことですね!
<郊外のメコン河沿いに建つ豪華な家>
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Tさん 「ルアンパバーンは街全体が世界遺産で、特にゾーン1と言われる中心街では、個人の家でさえユネスコの許可が無いと一切リフォームできません。
修理改築の申請をしても、回答を得るまでに 5- 6年、賄賂を渡しても 2年はかかります。
そこで中心街の住民は、家をヨーロッパやビエンチャンのお金持ちに長期貸与。数十年分の家賃を前払いで受取り、そのお金で郊外に大きな家を建てて引っ越しています。
郊外ならユネスコの許可も不要だし、中心街の家は(街が世界遺産に指定されてから)ものすごく高く貸せるようになったので、“世界遺産成金”が多数現れています。
今、この町には信号もないし、メコン河を渡るための橋もありません。どちらもユネスコの許可がでないので作ることができません。
ファストフィードのチェーン店も作れないし、中心部には大型バスも入れません。
排気ガスを出すオート三輪のタクシーは、少しずつ電気自動車に置き換わる予定です。
前は中国から買った電気自動車がありましたが、半年で壊れ修理もできませんでした。
今は日本から援助してもらった電気自動車を使っています」
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Tさん 「これはナンパするための楽器です」
ちきりん 「ナンパ?」
Tさん 「求愛です」
ちきりん 「・・・それは同じ意味じゃないです。具体的にいつ使うものですか?」
Tさん 「昔は男性数人が、この楽器や太鼓をもって、音楽を奏で、唄いながら女性の家まで行きました。で、家の前まできたら、歌で求愛します。
男性側が 3人の場合、女性も隣の家の女性を呼んできて 3対 3になったり。あっ、合コンみたいなものです」
ちきりん 「それもまた求愛とは全然違う気がするんですけど・・・
日本でも平安時代には、男性が女性の家まで行って歌を詠み、ナンパする慣習があったようです。ラオスではそれ、いつ頃の風習ですか?」
Tさん 「私の父の世代まではそういうことをやってたみたいです」
ちきりん 「そんな最近の話だったの!?」
Tさん 「私はやったことはないですが、小さい頃、男の人がそうやってナンパに行くのを見ました」
ちきりん 「女性をナンパしに行くのに、そんなウルサくして目立ちながら行くわけ?」
Tさん 「はい。黙っていくのは、奥さんのいる人だけです」
ちきりん 「!」
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なんかメタボだし、ずいぶん俗っぽいお坊さんだなと思ったら、
Tさん 「昔ものすごくハンサムなお坊さんがいて、どこにいっても女性が寄ってきて、結婚したい、愛人にしてほしいと騒ぐので、集中して修行をすることができず、
自分で自分に魔法をかけ、あえて不細工になったお坊さんの像です」
ほんまかいな。
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Tさん 「これは洪水に備えるため水位を測る石で、メコン河に一定間隔で設置してあります。フランスが植民地時代に設置しました」
ちきりん心の声・・・シンプルな造りだけど、こういうものを河に設置すべきという発想や、大雨でも流されないよう固定する・・・のが、技術であり文明の知恵よね。
フランスが植民地時代に造ったものが、今のラオスでも役立ってるわけで、その格差たるや、驚くべきものがあるだよ。
Tさん 「ラオスの歴史や仏教文化、少数民族に関する専門書も、その多くが英語かフランス語で出版されます。ラオス語で読みたいと思っても翻訳されない本も多く、ラオス人は勉強することができません」
ちきりん心の声・・・「クメール語では頭と脳という言葉の違いが無いため、脳出血が頭出血と区別できない」とおっしゃってた北原先生のお話を思い出しました → ビジネス用語にカタカナが多い理由 - Chikirinの日記
自国の文字で自国の歴史や文化が学べるというのは、とても幸せなことなんですね。
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Tさん 「あれは、メコン河を上る乗り合いの水上バスです。
料金は格安ですが、一日一本しかなく、時間も決まっているため、途中下車した場所で乗り過ごすと、翌日までジャングルの中において行かれてしまいます。
その点、今、ちきりんさんの乗ってるこの船は貸し切りですから安心です。
ひとりで借りても 30人で借りても料金は同じで、お客さんのスケジュールに併せて運行します」
ちきりん心の声・・・ってことは、あたしはひとりで 30人分の船代を払ってるってこと?
知らんかったよ。
ずいぶん豪勢だね、あたしの旅行・・・
そんじゃーねー
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