貞国聖子、山下知子、伊東和貴
2016年3月19日23時14分
外出中の我が子がどこにいるかを知るため、携帯電話のGPS機能を使った居場所追跡サービスを利用する親が増えている。トラブル対策などに役立つ一方、思春期に入った子どもからは「監視されたくない」との反発も。上手な使い方は――。
「犯罪や災害を考えると、持たせないと心配」。東京都練馬区の主婦(38)は小学1年の長女の小学校入学を機に、居場所追跡機能付きの携帯を持たせた。長女はバス通学。バスの位置がわかるため、下校時にバス停に迎えに行く時間もわかり、便利だという。
福岡県春日市の自営業の男性(60)は一昨年秋、中学1年の長男のスマートフォンに追跡サービスを付けた。塾がある日の帰りは午後10時近い。「夜遅いので心配だが、これがあると塾を出た後、どのあたりにいるのかがわかっていい」
携帯の居場所追跡機能が登場したのは10年ほど前。利用料は月200~300円ほど。親の携帯で子どもの携帯がある場所を確認したり、子の携帯が登録した場所に近づくとメールを受け取ったりできる。携帯電話各社は具体的な利用者数を公表していないが、auを展開するKDDI広報部は「サービス加入者は順調に増えている」という。
民間調査機関「MMD研究所」が昨年8月、携帯を持たせているか、持たせる予定の小学生の子がいる母親を対象に調査したところ、約9割がGPS機能を「必要」と答えた。
普及の背景にあるのが、誘拐や連れ回しなど、子どもを狙った事件の多発だ。実際に居場所追跡機能が子どもを救った例もある。兵庫県警が昨年10月、岡山県の中2女子生徒を連れ去ったとして、神戸市の男を未成年者誘拐容疑で逮捕した事件では、母親が女子生徒のタブレット端末のGPS機能で、居場所を追跡していたことが手がかりになった。
■「大学生になったらやめてほしい」」
便利な機能だが、子どもの反発を招くこともある。
福岡市の女性(49)は昨年8月に大阪府で中1の男女が遺体で見つかった事件を機に、高1の長女と中1の長男の携帯にGPS機能を付けた。塾や部活で帰宅が遅いことも多く、「万一を考えた」。
昨秋、長女の居場所を確認すると、塾の時間なのに着いていない。授業開始から約10分。思わず電話した。「どこ? 塾、始まっているのよ」。長女は体育祭の準備で忙しく、急いで塾に向かう途中だった。長女は「いらっとした。大学生になったらやめてほしいと思うかも」と言う。
子どもに嫌がられずにどう見守るか。親も悩む。東京都練馬区の主婦(36)は小3の長男の携帯に付けたGPS機能の説明を本人にしていない。「見られているのを嫌がる性格なので」
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