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【教科書検定】
自衛隊の活躍記述増 目立つ「反原発」姿勢
18日に検定結果が公表された高校教科書。発生から5年が経過した東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に関する記述は、地理歴史と公民の全教科書をはじめ、国語や理科、英語などを含め計120冊に掲載された。とりわけ救助や捜索、復旧作業などで活躍する自衛隊の記述が増えた。一方、原発の再稼働が進む中、反原発をにじませる教科書も目立った。
震災では10万人超の自衛隊員が被災地に派遣され、未曽有の災害の中で被災者に寄り添う姿勢は国内外で称賛された。今回は地歴公民を申請している8社中4社が現代社会や地理で紹介し、がれきの中で行方不明者を捜索したり、高齢者を背負ったりする自衛隊員の写真が掲載された。
中でも清水書院の現代社会は、防衛費の推移などを説明するページで、「災害時における自衛隊の災害出動は、必要不可欠な役割となっている」と評価した。
英語では、津波で命を落とした宮城県石巻市の学校で英語を教えていた米国人女性や、被災地を勇気づける活動をしていたプロ野球の楽天が取り上げられた。数研出版は科学と人間生活で、液状化現象のメカニズムをペットボトルや砂、タオル片などを用いて再現する実験方法を掲載した。
一方、原発事故についてはデモの発生を含めて反原発をうかがわせる記述も多かった。東京書籍の現代社会は「平和主義国家」との小見出しで日本の役割を説明した部分について「(原発事故が)『原子力の平和利用』がきわめて難しいことを示した」と記述した。