蹴球探訪
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(3月16日)
【首都スポ】山下大悟新監督、逆襲への道 早大ラグビー部2016年3月19日 紙面から
再建の切り札だ。ラグビー大学選手権に最多優勝15回を数えながら、王座から7年間遠ざかっている早大に、救世主がやってきた。山下大悟新監督(35)だ。自身も早大主将として大学選手権優勝を飾り、サントリーでも主将としてトップリーグ優勝に貢献するなど、歴代の早大監督でもずばぬけたキャリアの持ち主。東京・上井草に帰ってきた優勝請負人が描く王座奪回への青写真は?(大友信彦) 合言葉は「BE THE CHAIN(鎖になる)」だ。 「日本一になりたい。『荒ぶる』を歌いたい。一人一人のその思いをしっかりつなげていきたいんです」 早大ラグビー部の山下新監督はそう言った。『荒ぶる』とは、大学日本一になったときだけ歌うことができる早大ラグビー伝統の『勝利の歌』。だが、大学王座から見放されて、はや7年。今では『幻の歌』になっている。 その低迷打破の切り札が、ダイゴこと山下新監督だ。2002年度、早大が大学選手権に13年ぶり優勝を飾ったときの主将であり、サントリーでは主将としてトップリーグ初優勝。そんな優勝請負人が、王座奪回のために掲げたキーワードが「鎖」だ。 「鎖はひとつひとつが強くないと切れる。1人だけ強くても切れる。個々がみな強くなってはじめて、全体も強くなるんです」 掛け声だけではない。まず注力したのは、強くなるための環境整備だ。従来は片手で数えられる人数だったフルタイムのスタッフを、新年度は監督以下11人にパワーアップ。選手の肉体強化を預かるS&C(ストレングス&コンディショニング)部門に4人、管理栄養士にも1人のフルタイムスタッフを配置し、スクラムコーチには、トップリーグのヤマハ発動機とリコーで活躍した伊藤雄大を招いた。昨年のワールドカップで躍進した日本代表が、元フランス代表ダルマゾコーチのもとでスクラムを強化したように、スクラム強化には専任スタッフが必須条件だ。 「強化のポイントはチームディフェンスとスクラム、そしてブレイクダウン、つまり接点の攻防です。去年はこれで完全に負けて、帝京大に92点取られた。その現実を直視して、再構築して、逆に自分たちの強みにする覚悟で取り組みます」 2月27日のファーストミーティングでは、「接点の50センチ、1メートルをワセダ色に染めていくんだ」と選手たちに伝えたという。 「選手たちの表情を見ていたら、どんどん本気になっていくのを実感しました」 山下新監督は言葉に力を込めた。 「帝京大とは、今は100回やって1回しか勝てない力関係かもしれないけれど、秋には10回に1回勝てるところまで差を詰める。そして決勝でもう一度やれたら、そのときは1回しかない勝ちを取りに行きます」 鋭い目が光った。名門の逆襲が始まる。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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