[&] UX Days Tokyo 2016 - Jesse James Garrett
UX Days Tokyo 2016
16年のUXワークから学ぶ16のレッスン
Jesse James Garrett
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ご紹介いただき、ありがとうございます。
東京に戻れてうれしいです。
仕事について話せるのが大変光栄に思っています。
Adaptive Path の共同創業者です、
16のレッスンが私の講演タイトルです。
一番最初に、それでは皆さんにどういう役割を担われているのか聞きたいです。
UXの担当者の方、UXデザイナーの方?
デベロッパーの方、開発者の方は?
ビジネス関連の方は?
他の方は皆さんなにをされているのですかね?(笑)
コンサルタントの方は?数名くらいですかね。
個人の体験に基づいたキャリアの話しをさせて頂きます。
皆さんに関連するものも、そうでないものもあるかもしれません。
UXを16年、なんの仕事にしても、16年は長い期間です。
私はデザインの学校にはいっていません。
ジャーナリストの勉強をしていました。
1999年、Webサイトの編集を手がけていました。
いろいろな仕事をしてきて、明確にわかったのは、
ライターとしての成功は、おおいにデザインに依存すると
デザイナーの方と対話を重ねる中で、全く新しい
IA(情報設計)という分野はどういうものだろう?と
考えるようになりまました。
最終的にはデザインで問題を解決するようになっていました。
1999年に、上司を説得し、その編集の仕事は他の人にまかせ、
IAとして、フルタイムで仕事できるように交渉したのです。
サンフランシスコのデザインの代理店で何年かつとめました。
2001年、特にサンフランシスコで再編がおきている
まっただなかだったのですが、
突然会社が倒産していく時期で、
私と友人は職を失い、どういう未来があるのか?
混沌とした時期を過ごしていました。
サンフランシスコで Adaptive Path という会社を作ることになり、
初のUXにフォーカスする会社でした。
新しい分野なので、課題もありました。
出会う人には毎回説明しなければいけませんでした。
UXについて、説明できる説明できる達人になっていったわけです。
UXカンファレンスをスタートし
世界中のクライアントと仕事をし、
沢山の学びを得ました。
どうしたらデザイナーとして良くなれるのか?
キャリア自身がデザイン学校になったのです。
免責条項としてお話ししておきます。
個人の体験にもとづいた洞察。
クライアントと仕事した上での洞察であり、
皆様の体験とは異なるかもしれませんが、
仕事にお役にたてれば幸いです。
無視して頂いてもかまいまsね。
Adaptive Path ではチームワーク、コラボレーションを
大切にしてきました。
どうしたら、クライアントとどうしたら上手く仕事できるかに
注力してきたからです。
●1. Go broad.
できるだけ広範に。
いろいろな問題がでてきます。
いくつかあります。メディアの会社でも、保険会社でも、
ソフトウェア会社、オンラインサービス、
NPO, 銀行、小売、消費者向け、エネルギー会社
ヘルスケア、沢山の企業と仕事しました。
私自身は、何かの分野の専門家にはなりませんでした。
ジェネラリストだからこそ、良いデザイナーになれたと感じています。
もしかしたら、ある業界で学んだことが
他の業界で生かせるとは思っていないかもしれませんが、
私の体験から言うと、他の業界で学んだことを
他の業界に活かしていけると考えています。
かならずしもメディアの会社の課題が、銀行の問題に関わる、
役立てると思うことは無かったかもしれませんが、
いろいろな業界で学んだからこそ、点と点をむすんで、
異なる問題と繋いで考えることができるようになりました。
デザインのソリューションというのは
その中に広範に適応できる問題に対する解を持っているのです。
●2. Go deep.
できるだけ深堀せよ。
問題を理解するのは大切
ビジネスの文脈、ビジネス文脈、文化的な文脈、
組織風土、プロジェクトを手がける時には、
文脈の中に没頭し、深く理解しようとします。
クライアントの市場、経緯、歴史をよって、
どういうふうに組織が意思決定するのかに影響するからです。
意思決定がわかれば、よりよくお手伝いすることができ、
デザインもうまく機能することができる。
クライアントの創業者のことを詳しく調べるようにしています。
創業者の個性や、人格、意志決定したかが、
組織全体に影響をあたえる。
創業者が亡くなっていたとしても、その社風の一部になっているのです。
どういうふうに組織が意思決定するかに影響を及ぼしている。
APとしては、プロジェクトの体制をこのようにしました。
デザイナーがかならず一つの問題に没頭するように。
複数のプロジェクトを並行して手がけることはありません。
深く状況、課題を理解できるようになるのです。
●3. Go for a walk.
散歩にいってみてください。
夢中になって、周りが見えなくなってしまわないように。
一歩さがって、全く新しい課題として問題を眺めてみるのです。
入力要素を変えてみるのです。
自分の感覚や経験をかえることで、新しい考えが生まれてきます。
科学者が何年にもわたって、自然界の問題を解決しようして、
無理だけれども、
道ばたで何かを見たことで、何かにおもいついて、
何年もかかえてきた、難解な問題が突然解けてしまうことがあります。
新しい視点で課題を見ることで、それが生まれる。
背景をかえる、見方をかえる、
オフィスから出てみる、考える場所をかえるだけで、
新しいクリエイティビテイが生まれる
●4. Go farther than you think you should.
自分の役割をここまでだと決めてしまう事無しで。
自分の考え、ある問題に対して、これぐらいだったら
良いだろうという制限を忘れてしまいましょう。
回答ができるまえに決まってしまっていることがあります。
未知の体験は恐いことなので、それを超えようとしなですが、
大丈夫なのです。必要なのです。
イノベーションを生むには、これまで槍慣れてきたことより、
もっと先を探る必要がある。
問題の定義を超えて、作業してみるという可能性があるのです。
イノベーションを引き起こしたいなら、
皆さんの仕事は非合理的でなければいけないのです。
自分自身でも疑いを持つものをやってみないといけないのです。
米国の保険会社のために仕事をしました。
顧客情報を扱うための仕事です。全米を出張してまわりました。
保険会社の地方オフィスに行って、
仕事の環境を観てまわったのです。
これはとても退屈な仕事だということがわかりました。
細かいことまで記載しなければいけないし、
作業も永遠と終わらないような気になります。
アプリケーションのユーザーは、ちょっとかわいそうなのです。
そこで私は、考えました。
この製品を使ってもらって、彼らが楽しめることは無いだろうか?
オモチャやゲームを調査しはじめました。
このパターンでもしかしたら、保険会社の従業員の人が
楽しくやれるのではないかと考えました。
そこでそのアイデアを中心にアプリケーションを開発しました。
決して忘れられない経験になりました。
プロトタイプのテストをした時に、
それを使った女性が大声で笑い始めたのです。
このアプリケーションというのは、
これまで彼女が毎日使ってきた、退屈なアプリケーションで、
それが彼女にとって楽しいという瞬間にかわってきたときに、
うれしくなりました。
自分の仕事がこんなものだと満足していたら、このような感動は無かったです。
●5. Put away your notes.
ノートは忘れる。
あまりにも細かいことばかりに気をとられてしまいます。
常に自分の心の中で、どんな要素でも、
限定要項でもデザインに影響を与えることを覚えておく。
人間らしい問題でも人工的な計算をしてしまう場合がある。
そのため、メモを一回読んで、しばらく観ないようにして、
気付かないように、認識しないようにしてみましょう。
例えばホワイトボード、何も書いていないスクリーンの前で、
本当の真実はなんだろう?と考える。
ユーザーはこの環境の中で、いったい何を要求しているのか?
彼らにとって一番重要なのはなんだろう?
直感をしんじ、
それから考える。
●6. Learn to spot your assumptions.
想定しているということを分かる。
私たちは頭の中に、世界はこういう物だというモデルを持っています
そのモデルの構成要素はかならずしも真実ではありません。
デザインを構成しているとき、自分がまだ確認していないものは、
実はとても大変なことなのですが、
口に出して、なぜこういう風にしたのかを言ってみると、
少し簡単になります。
私たちが決めたこと、自分の心の中で気付かずに常に想定していたことに
基づいていて、現実と相反していることがあります。
●7. stay curious.
常に好奇心を持ち続ける。
ある特定の問題を解決済みと思ってしまうことは簡単です。
または、毎回毎回、他の製品やサービスだから
パターンだと思い込んでしまうことも簡単です。
しかしながら、私のキャリアで最も重要だったものは、
常にこういった問題を、
もう解決した問題を、いろいろ論文があって、解決策を
もう一度解いてみるということでした。
私たちにとって、クリエイティビティをのばして いくということは、
実は、私たちが解いたら面白いと思う、エキサイティングなこと
ばかりではない。
銀行や医療や、表面上は退屈な問題でも、
好奇心をもちつづければ、
これまでは全く違ったやり方を思いつくのです。
●8. be as curious about your clients
as you are about your users.
デザイナーはデザインについて話しをすることが大好きです。
デザイナーじゃない人は何も教えてくれないだろうと
思いがちです。
もっと彼らのニーズを理解しようと、
ビジネスの人達、技術者達のニーズを理解しようとし、
そうすると、デザインの仕事をより強化することができるのです。
それによって、世界にちゃんと発信していくことができるのです。
世の中に出していくことができるのです
組織全体が製品を実現し、デザインが盛り込まれていくのですから、
デザイナーじゃない人と戦いを起こさないようにしましょう。
●9. Hang with different crowds.
違う人達とつきあおう。
違うタイプの人とつきあっていきましょう。
沢山のことが学ぶことができるからです。
違う人達によって、違う視点が持ち込まれます。
2005年にあるプロジェクトを手がけていました。
本当にアプリケーションを早く動かさなければいけないという使命があり、
あらたな技術が出現しているので、新しい体験を生み出せると考え、
Ajax と呼びました。
Ajax について記事を書くことで、その頃から沢山の人から
メールを頂くようになりました。JavaScript を直してくれとまで
言われました。
そうした人と話しをする中で、技術の問題の解決の仕方、
彼らの視点を学ぶことでより自信をもって、
何が可能で、発想したアイデアをより自信をもつことができました。
●10. Cultivate allies.
味方をはぐくめ。
UX分野で新参者だったので、いろいろ説明する必要がありました
UIにフォーカスした考えを持ち合わせていました。
UIより一歩下がって、ボタンの位置だけではなく、
もうすこし俯瞰的にかんがえ、ユーザーの全体像をとらえようと
言ってきて、UIの問題ではなく、体験の問題があるということを
伝えていった。
彼らと一緒に仕事できなくても、言葉を使って仕事していける。
コンサルタントはいつも一緒ではなく、
いつかはプロジェクトは終わり、クライアントは自分たちだけで
仕事を続けなければいけない。
後見人としてサポートできる人がいないと、
私たちの仕事自体があやぶまれる。
必ずしも一番の味方はデザイナーでは無いかもしれない。
いろんな役割の人に味方になってもらえる。
UXという言葉で、代弁してくれる人がいることがわかったのです。
ビジネス側の人かも、技術の人かもしれません。
どういう場合であったとしても、こういった味方がいることで、
関係を構築することができれば、
情報を提供し、導けば
プロジェクトに居なくなっても、UXは続くのです。
●11. pick your battles.
戦いを選ぶのです。
どんなデザインのプロセスでも生みの苦しみがあります。
まいかい勝利を味わうのは難しいことです。
世界中のデザイナーとも仕事しますが、
百戦百勝ではありません。
いつも勝てないという時に、きかなければいけない問いは、
何だったら、戦うべきものなのか?
デザインがそこな無いと、要で、空中分解してしまうような
要がわかれば、そこに焦点を与え、
そのパーツを必ず入れる!と賢く戦っていくことができます。
あるプロジェクト、ニュースの大手で、
沢山のリサーチをして、どういうふうにニュースを観ていくのか
調べました。
その調査をもとに、全く異なる
ニュースのコンテンツのナビベーション方法をあみだしました。
今までとあまりにも違っていたので、リスクが高いのではないかと
考えました。
リサーチの結果を提示し、だからこそうまくいくんだと説得しました。
ある時点できづいた のです。
もはや関係無いのです。お気に入りのアイデアが
デザインの中に盛り込まれなかったとしても、いいんだと。
必ずしもプロジェクトの成功のために不可欠な考えでは無いと思い、
その考えを手放せるようになったのです。
●12. good work doesn't speak for itself.
良い仕事は自己PRしてくれません。
自分の仕事を語れるようにならなければいけません。
仕事の真実は微妙なもので、本当に細かなところに違いがあったりします。
皆がすぐに分かることではありません。
理由を説明していく必要があるのです。
良いデザインの仕事をすぐに理解できるわけではありません。
皆さん自身がなぜそのデザインが良いのか説明し、
これこそがやるべきことなのか説得しなければいけません。
クライアントが感情的にやりたい!と興味をもつこと、
ちゃんと理解できるように説明していくのです。
ずっとクライアントのそばに居られるわけではない。
クライアントが信念をもって、仕事を信奉してもらわないといけない。
●13. changing a design is easy.
changing minds is hard.
デザインをかえるのは簡単、マインドセットをかえるのは大変
偏見との戦いです。
これはこういうものである。
こまかなディテールに細かくこだわったり、
あるこだわり、良いデザインはこういうべき、
これだったらうまくいく、いかないといった先入観を
かえるのは大変難しいことです。
これまでとは違う方法で仕事するとか、意思決定するとか、
このデザインに関しての先入観をかえるだけでなく、
組織の考え方、日頃やりなれていること、
慣れ親しんできたことを変えなければいけません。
●14. Pay attention to your failures.
失敗した時にはその内容を気にしておくこと。
今日のレッスンは個人的に失敗したことから学んだことです。
なんどもなんども成功をするはずだったのに、
それができなかったことを経験しています。
その失敗からの学びがなかったからです。
デザインがうまくいかなかった時
製品をローンチしたのに、最初のデザインとは違うものだった時、
きちんと注意をはらっていなかったからだと思います。
リーンメソッドを聞いたことがあるでしょうか?
ユーザーにとってうまくいっていないことに気を配るのです。
リーンでも、失敗の内容に気を使うのは重要なことです。
学ぶというレベルでは駄目で、
失敗の内容を検討してみる。
これが失敗したということは、自分に何のメッセージを
送っているのか考えなければいけない。
次はこうやるべきというメッセージが込められているからです。
失敗の規模、大きさが、学べることとの相関関係はありません。
Ajax を取り扱い、その時に私たちのアプリケーションが
常にサーバーとやりとりし続けるということがありました。
それを使っているユーザーは、状態をセーブしておく必要はありません。
テストの結果分かったのは「保存」ボタンが無いばあい、
保存されていないのではないかと、心配になってしまうのです。
実はアプリケーションに対する信頼を無くす原因になってしまったのです。
次に改訂する時、保存ボタンを追加しました。
ボタンには何も機能は無いのに(笑)
テクノロジーがどう機能するのか?人間の経験について、
全てのアプリケーションに保存ボタンがあるのか気にするのではなく、
どうしたら、ユーザーの信頼をきちんと得ることができるのか?を
自分たちの仕事に取り込んでいくのか?を学んだのです。
●15. everything is always changing.
全てのものは変わっていきます。
初めて仕事しはじめた時、イベントだと思っていて、
ある瞬間のことを変化だと思っていました。
変化前、変化後と明確に区切られているかと思っていました。
ビジネスの変化、デザインの変化、
これらの変化は少しつづ、あまりにも小さい、
時には非常に大きな変化。
iPHone の発表みたいのもあります。
仕事に与える変化は小さい変化の積み重ねがもたらすものです。
一つ一つはたいした意味は無くとも、
積み重なると大きな変化になり、
自分が思い込みをしているというのと同じ、
本当に小さな変化が表面かで、気付かないレベルでおこっている、
そのうち大きなものとして現実化する、
変化がでてきたら、気付くものだと思い込んでいたら、
そうすると、小さな変化に目をつぶってしまいます。
Ajax の話しをしました、その当時、
Ajax というのは本当に大きな変化だと感じました。
真実は、実は小さな変化が技術の世界でおきていて、
ひとつ一つは小さなものだけれども、大きな変化になったのです。
デザイナーはこれまでとは違う、Webとはこういうものという
考え方を一端忘れて、小さな変化に気付くようにならなければ
いけません。
10年たって、変化しつつあるテクノロジーは
あたらしいタイプのインタラクションを作り得るのだと、
発見し続けています。
この作業をするという中で、全てのものは変わり続けるということを
受け入れなければいけません。
永久に変わらないものはありません。
デザインの法則も変わるし、変化し続けることを受け入れなければ
いけません。
それに対して負けるのではなく、その変化を受け入れ、
変わり続けることを事実として、変化の波に乗りながら楽しむ
ことが必要です。
16!
We are all in this together.
みんなでやっているのです。
非常にラッキーだったのは世界中の人と話す機会があったのです。
日本やオーストラリア、とかとか、
アメリカほど進んでいないですよ!
追いつこうとしているのですよ!と言いますが、
実は直面しているのは、アメリカと同じ問題です。
クライアントや文化は違います。
でも、私たち全員は、皆一緒です。
だからこそ、世界中でコミュニティーが作れるでしょう。
皆さんから色々なことを学びます。
イベントに参加することは、自分の経験を伝えるだけでなく、
皆さん方からもいろいろ教えて欲しい。
Thank you.
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