2016年3月19日11時22分
3歳の我が子をウサギ用のケージに閉じ込め、タオルを猿ぐつわのように巻き付けて死なせたとして、両親が逮捕された。一家は7人の子に恵まれた大家族。母親は法廷で「子どもが好きだった」と話したのだが――。
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2月25日、東京地裁713号法廷。父親(31)と母親(29)は、ともに黒いジャージー姿で現れた。
父親「やったことと死亡の因果関係はわかりません」
母親「(父親が)口をふさいだことは知りませんでした」
2人の起訴内容は、2012年12月~13年3月、当時3歳の次男をウサギ用のケージに監禁し、口をタオルでふさいで死なせ、遺体を遺棄したというもの。初公判で2人は監禁や遺体を捨てたことは認めたが、死亡との因果関係は争う姿勢を示した。
法廷で明らかになった事件に至る経緯はこうだ。
2人の出会いは、約9年前。当時、父親が働いていたホストクラブに、母親が客として来店し、交際が始まった。やがて2人は結婚し、次々と子に恵まれた。事件当時は次男を含め5人の子どもがおり、母親は第6子を妊娠中。2人とも無職で、児童相談所は支援が必要な家庭として家庭訪問をするなどしていた。
弁護人「どうしてたくさんのお子さんを?」
母親「子どもが好きだったからです」
弁護人「お子さんが多くてどうでしたか」
母親「毎日明るく生活をしてました」
父親も料理をしたり、子どもを寝つかせるために絵本を読み聞かせたりした。法廷でそれぞれの子どもの性格や誕生日を聞かれると、父親は迷うことなくスラスラ答えた。自身も5人きょうだいだったため、子どもの人数は「5人目まではなんとも思わなかった」という。
だが、育児に悩みも抱えていた。12年10月にあった3歳児健康診断の際、母親は次男が「ちゃんと話せない」と相談。言語の発達に遅滞があることが認められた。他のきょうだいに比べオムツがとれるのも遅く、炊飯器のご飯を勝手に食べてしまったり、床に小麦粉やごま油をまいてしまったりすることもあった。次女も次男のまねをすることがあったという。
両親は次男の育児を保健センターなどに相談。父親が児童相談所に次男を一時的に預かってもらえるよう頼んだこともあったが、断られた。
父親「(断られて)もういいや、と思いました。こいつら口だけだな、と」
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朝日新聞社会部
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