日本陸連は17日、東京都内で理事会を開き、リオデジャネイロ五輪のマラソン代表を男子は佐々木悟(30)=旭化成、北島寿典(31)=安川電機、石川末広(36)=ホンダ、福士加代子(33)=ワコール、田中智美(28)=第一生命=を新たに選出し発表。昨夏世界選手権7位で代表に内定していた伊藤舞(31)=大塚製薬=と合わせ6人の代表が出そろった。選考をめぐり、大阪国際女子マラソンを制しながら一時は名古屋ウィメンズマラソンへの強行出場も示唆していた福士も“無風選考”に晴れて金メダル獲得を宣言した。
前評判通りの無風決着となった。選考に関する場面では非公開となった理事会を経て会見に臨んだ日本陸連の尾県貢専務理事が「理事会は満場一致だった。いろいろな意見を頂いたが現状のベストメンバーだと一致した」と様子を明かした。これには昨年の世界選手権選考で異を唱えた増田明美さんも「まさかの結果が出たらほえようと思っていたが、文句なし」と、うれしい肩透かしに笑顔だった。
福士の強行エントリー、あまりの低調ぶりに枠返上の可能性も浮上した男子の東京マラソンなど、波乱の予兆もあった今回の選考だったが、最終的に福士は名古屋を欠場、男子もびわ湖で北島と石川が好走し、もめる要素がほぼ消えた。唯一の争点はびわ湖で日本人2位だった石川と、東京で日本人トップだった高宮祐樹(ヤクルト)との甲乙だったが、酒井勝充強化副委員長は「石川は北島と遜色ない評価」と選出の理由を説明、東京で健闘した青学大の下田ら学生も、選考会の上位3名という俎上(そじょう)に乗るだけにとどまった。
強行エントリーに「福士騒動というか永山(忠幸)騒動」と増田さんが振り返った福士も、晴れての代表選出に所属先のホームページに「私は金メダルが欲しいので、何があろうとあきらめずに覚悟を持って走ってきます!」と直筆のメッセージを公開、リオへ向けての決意を新たにした。
会見では冒頭に尾県専務理事が「選手たちの努力を最大限尊重し選考してきたことをここに誓う」と宣言し、終了間際にも一連の騒動について「皆さまにはご迷惑をおかけしたと思っている」と振り返る一幕も。結果的には円満に収束したドタバタを経てメダル、入賞という目標達成を目指す。 (川村庸介)