クルーグマンも結局、官邸訪問を決定
安倍晋三首相の肝いりでスタ-トした国際金融経済分析会合の第1回目が3月16日午前、首相官邸で開かれた。2017年4月から消費税率10%への引き上げの是非を判断するために世界的権威を含めた有識者から意見を聴取するためだ。
同会合のメンバーは安倍首相、麻生太郎副総理・財務相、石原伸晃経済財政・再生相、菅義偉官房長官、岸田文雄外相、林幹雄経済産業相、加藤勝信一億総活躍相、黒田東彦日本銀行総裁である。
初会合のゲストは2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授。同教授はクリントン政権下の1995年6月から97年2月まで大統領経済諮問委員長を務めた。ちなみにスティグリッツ教授の後任は、現在の米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長である。
その他、同教授は国連の国際通貨金融システム改革委員長を歴任、米ハーバード大学、英オックスフォード大学、英ケンブリッジ大学などから名誉博士号を授与されるなど、まさに「世界的権威」である。そのスティグリッツ教授が分析会合で「消費再増税はやるべきではない」と提言したのだ。
17日に開催された第2回会合のゲストは、デール・ジョルゲンソン米ハーバード大学教授と岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)であった。全米経済協会会長を歴任したジョルゲンソン教授は、経済成長、情報工学、エネルギー・環境問題、そして税制のプロフェッショナルである。一方の岩田氏もまた黒田=日銀が導入したマイナス金利政策を支持し、消費再増税にも否定的である。
2号前の本コラムで言及したポール・クルーグマン米プリンストン大学教授だが、21~22日に京都の野村別邸で開かれる中央銀行セミナーに出席するものの、安倍首相との日程調整ができないため出席しないとみられていた。ところが、15日になって急きょ分析会合出席の連絡があったのだ。22日夕首相官邸で、同教授を招き第3回会合が開かる。
先のコラムでも指摘したが、同教授は一昨年11月6日に安倍首相と会談した時も消費増税反対の意見を伝え、その後の安倍首相の再増税15カ月先送り判断に繋がったとされる。クルーグマン教授は、実はスティグリッツ教授から多大な影響を受けているのである。