〜理容室・美容室(美容院)経営の法律知識〜
理容室・美容室(美容院)の開業・経営に必要な行政手続や法律知識について、さまざまな情報を提供しています。理美容室経営者の方や将来独立開業予定の理容師・美容師の方、理美容業界関係者の方は、ぜひお読みください!
5-14.お客様から「自分のカルテを消してくれ」と請求された場合
本節では、顧客名簿やカルテに記載されているお客様本人から、「私の住所・氏名等に変更が生じたので、貴店の顧客名簿の内容を訂正して欲しい」とか、「私の住所・氏名等のデータを貴店の顧客名簿から削除して欲しい」と請求された場合の対処法について、説明していきます。なお、本節でも説明をわかりやすくするため、あえて部分的に「保有個人データ」という用語を「顧客名簿やカルテ」という言葉に置き換えて説明していきます。
《3:顧客名簿やカルテの訂正・追加・削除について》
個人情報取扱事業者は、本人から、顧客名簿やカルテなどの内容に誤りがあり、事実でないという理由によって訂正等を求められた場合には、原則として、訂正等を行い、訂正等を行った場合には、その内容を本人に対して遅滞なく通知しなければならないとされています。
ただし、利用目的から見て訂正等が必要ではない場合や、誤りである旨の指摘が正しくない場合には、訂正等を行う必要はありません。その場合には、遅滞なく、訂正等を行わない旨を本人に通知する必要があります。
要するに、お客様から「私の氏名がお店のカルテに間違った字で登録されているので、訂正してください」とか、「引越しをして住所が変わったので、顧客名簿に登録されている住所を訂正してください」と求められた場合には、原則としてカルテの内容の訂正を行い、「このように訂正しました」ということを、なるべく早く本人に通知しなければならないということです。
また、お客様の訂正要求が「勘違い」であったときにも、そのまま無視していいというわけではなく、「調査した結果、当店のデータに誤りはありませんでしたので、訂正を行いませんでした」という旨を、やはり同様に通知しなければならないということです。(訂正を行わない理由の通知については努力義務です。)
これは削除についても同様で、お客様から「遠くの町へ引越すので、もうお店に通えなくなるため、顧客名簿から私の住所・氏名などのデータを削除してください」と求められたような場合には、原則として顧客名簿からそのお客様についてのデータを削除し、「削除しました」ということを、なるべく早く本人に通知しなければならないということです。
また、お客様の削除要求が「勘違い」で、そのお客様のデータがはじめから顧客名簿に登録されていない場合や、昔は登録されていたが今では削除済みであるような場合にも、そのまま無視していいというわけではなく、「調査した結果、当店にはお客様についてのデータは登録されていません(あるいは、すでに削除されています)」という旨を、やはり同様に通知しなければならないということです。(削除を行わない理由の通知については努力義務です。)
なお、他の法令の規定により特別の手続が定められている場合には、その特別の手続が優先されることになります。
《4:顧客名簿やカルテの利用の停止・消去について》
個人情報取扱事業者は、本人から、「本人の同意なく、個人情報を利用目的の範囲外で利用した」「個人情報を不正に取得した」という理由で、その本人に関する顧客名簿やカルテなどの利用の停止又は消去を求められた場合には、原則として、利用の停止又は消去を行わなければならないとされています。なお、この場合、遅滞なく、その旨を本人に通知する必要があります。
ただし、違反を是正するための必要な限度を超えている場合や手続違反である旨の指摘が正しくない場合には、利用の停止又は消去を行う必要はありません。その場合には、遅滞なく、利用の停止や消去を行わない旨を本人に通知する必要があります。
要するに、例えば「店内での顧客管理や施術歴の記録のため」という利用目的の範囲を超えて、DMの発送を行うのにカルテを利用した場合に、本人から「私のデータをDM発送目的に利用しないでください」とか「私のデータを消去してください」と求められたときには、本人の要求に従って利用の停止又は消去を行い、その旨をなるべく早く本人に通知しなければならないということです。
また、本当はDM発送もお店の個人情報の利用目的に含まれているのに、お客様の勘違いで利用停止や消去を求められた場合にも、そのまま無視していいというわけではなく、「DM発送も当店の個人情報の利用目的の範囲内ですので、消去は行いませんでした」という旨を、やはり同様に通知しなければならないということです。(消去を行わない理由の通知については努力義務です。)
《5:顧客名簿やカルテの第三者への提供の停止について》
個人情報取扱事業者は、本人から、「本人の同意なく、個人データを第三者に提供した」という理由で、その本人に関する保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合には、原則として、第三者への提供の停止を行わなければならないとされています。なお、この場合、遅滞なく、その旨を本人に通知する必要があります。
要するに、利用目的に「個人データの第三者への提供」が含まれていないにもかかわらず、勝手に顧客名簿やカルテを第三者に提供したり、また、5-9で説明した手順を踏むことなく、親子会社やグループ会社で顧客名簿を使いまわしたような場合、本人から「私のデータを第三者に提供したり、使いまわしたりするのはやめてください」と求められたときには、本人の要求に従って第三者への提供の停止を行い、その旨をなるべく早く本人に通知しなければならないということです。
また、本当は利用目的に「個人データの第三者への提供」が含まれているのに、お客様の勘違いで第三者提供の停止を求められた場合にも、そのまま無視していいというわけではなく、「個人データの第三者への提供も当店の個人情報の利用目的の範囲内ですので、第三者提供の停止は行いませんでした」という旨を、やはり同様に通知しなければならないということです。(第三者提供の停止を行わない理由の通知については努力義務です。)
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