トップページ社会ニュース一覧トンネル事故 運送会社を緊急監査 4つの法令違反
ニュース詳細

トンネル事故 運送会社を緊急監査 4つの法令違反
3月19日 5時35分

トンネル事故 運送会社を緊急監査 4つの法令違反
k10010448931_201603190630_201603190633.mp4
広島県の山陽自動車道のトンネルで渋滞中の車の列にトラックが突っ込み、2人が死亡し、67人がけがをした事故で、国土交通省が18日、トラックの運転手が勤務する埼玉県内の運送会社を緊急に監査したところ、運転手を巡って少なくとも4つの法令違反が見つかりました。
この事故を受け、国土交通省は18日、事故を起こして逮捕された皆見成導容疑者(33)が勤務する埼玉県川口市の運送会社、「ゴーイチマルエキスライン」に緊急に監査を行いました。
職員が社長や運行管理者から聞き取り調査を行い、関係書類を確認した結果、皆見運転手を巡って少なくとも4つの法令違反が見つかりました。具体的には、会社は皆見運転手が去年12月に入社したときに、法令で定められた健康診断や適性検査、それに必要な安全教育をいずれも受けさせていなかったということです。
また、皆見運転手が先月、九州に向かった複数の乗務で法令で定められた時間よりも運転時間が長く、休憩時間が短いなど過労状態で運転していたことが確認されたということです。一方、今月の乗務では過労運転は確認されていないということです。
このほか、この会社については平成25年12月の監査で栃木県の営業所で運転手の過労運転や点呼を行っていないなどの法令違反が見つかり、今月23日にトラック1台を70日間の運行停止の処分にする予定だったということです。

運送会社と運転手の経歴は

国土交通省によりますと、埼玉県川口市の運送会社、「ゴーイチマルエキスライン」は平成5年9月に貨物事業の許可を受けています。現在は埼玉県川口市、埼玉県八潮市、栃木県さくら市の3か所に営業所があり、66台のトラックを所有しています。
事故を起こして逮捕された皆見成導容疑者(33)は平成20年11月に普通免許を取得し、3年後の平成23年6月に中型トラックに乗務できる免許を取得しました。その半年後の平成23年12月に最初の運送会社に入社、去年3月に別の運送会社に転職し、そして、去年12月に現在の会社に正社員として入社したということです。
会社は皆見運転手を採用した際、社長と運行管理者が面接し、健康に問題がないと申告を受けただけで、健康診断を受けさせていませんでした。

事故直前に渋滞の情報伝える

国土交通省が会社から聞き取ったところ、事故を起こした皆見運転手は今回、埼玉県川口市から福岡県に引っ越しの荷物を運ぶ途中だったということです。
皆見運転手は今月15日と16日の2日間、川崎市で荷物を積み込んだあと、いったん埼玉県川口市の営業所に戻り、16日の午後4時に営業所を出発していました。その際、運行管理者が対面で点呼を行い、特に変わった様子はなかったということです。
そして、事故直前の17日午前5時ごろに運行管理者は、皆見運転手が宿泊先から出発する前に電話で点呼を行いました。その際、今回の事故が起きたトンネルの先で渋滞が発生していることを伝え、「状況に応じてう回するルートを走行してもいい」と指示していたということです。
しかし、皆見運転手は当初予定していたルートを走行し、渋滞の列に追突しました。本来なら福岡県に荷物を届けたあと、別の荷物を積み込み、大阪を経由して5日後の今月21日に川口市に戻る予定でした。

国土交通省 安全運行徹底を指示

今回の事故を受けて、国土交通省は全日本トラック協会を通じて、全国の運送会社に安全運行を徹底するよう指示しました。
具体的には運転手の勤務時間や運転時間の基準を守ることや、点呼を実施し、道路状況や運転手の健康状態を把握すること、運行指示書を作成して運行ルートや休憩について運転手に適切に指導することを求めています。
さらに車両の点検と整備の実施や、制限速度などの法令順守を徹底し、安全を最優先に運行するよう指示しています。

関連ニュース

このページの先頭へ