政府が破壊措置命令 PAC3配置
中谷元(げん)防衛相が北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、16日付で自衛隊法に基づく破壊措置命令を出していたことが分かった。北朝鮮が18日、「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイルを発射したため、政府は同日付で命令を追加し、警戒を強めている。
韓国国防省によると、北朝鮮は18日午前5時55分(日本時間同)ごろ、平壌の北側にある平安南道(ピョンアンナムド)粛川(スクチョン)一帯から日本海に向け弾道ミサイル1発を発射。午前6時17分にも粛川一帯からミサイルとみられる飛翔(ひしょう)体が発射され、上空17キロの地点でレーダーから消えた。1発目の飛距離は約800キロ、2発目は爆発した可能性がある。いずれも移動式発射台(TEL)から打ち上げられたとみられる。
ノドンの射程は日本の大部分が入る1300キロで、北朝鮮が発射するのは2014年3月以来2年ぶり。今回の飛距離だと、方向によっては九州北部や中国地方に届いていた。防衛省関係者によると、着弾地点は日本の防空識別圏内で、「日本の排他的経済水域(EEZ)のぎりぎり外だった」という。同省は破壊措置命令を受けて、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を既に日本海に展開させており、18日には新たな命令によって地上配備型迎撃ミサイルのパトリオット(PAC3)を東京・市ケ谷駐屯地に配置した。今回、一連の命令を公表していない。
安倍晋三首相は18日、情報の収集・分析や国民への情報提供などを徹底するよう関係省庁に指示し、国家安全保障会議(NSC)の4閣僚会合を首相官邸で開いた。政府は北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議した。【村尾哲、町田徳丈】