原子力規制委員会は18日、九州電力川内原発(鹿児島県)周辺の放射線量計について報じた朝日新聞の対応をめぐり、朝日新聞に口頭で抗議した。

 規制委は、朝日新聞が14日付朝刊1面で「川内原発周辺の放射線量計 避難基準値 半数測れず」と報じた記事などについて、「誤解を生じるおそれがある」と指摘。「住民をすぐに避難させる判断指標に注目した記事である」とした17日付朝刊社会面の朝日新聞の見解に対し、規制委は「鹿児島県では、住民避難の判断に必要十分な線量計が適切に配置されている」とする見解を示していた。

 規制委の松浦克巳総務課長は18日の記者会見で、抗議した理由を、「14日付の記事が明確に修正されていない」「立地自治体などへの釈明もない」と説明。さらに、原子力規制庁職員への取材時に合意のもとで行っていた録音について、提出を求めたが応じなかったことも理由にあげた。

 会見で朝日新聞記者は、田中俊一委員長が16日の定例会で記事について「無用な不安をあおり立てたという意味で犯罪的」と発言した真意を質問した。松浦課長は「委員長は定例会後の会見の冒頭で遺憾であると話しており、遺憾という趣旨だ」と説明した。

■安全対策、報道続けます

 《橋本仁東京本社報道局長の話》 原子力規制委員会の見解としては受け止めますが、私たちの見解とは異なります。原子力事故はひとたび起きれば多くの人たちの安全を脅かし、生活の基盤を奪います。私たちは、より安全で安心できる対策はどうあるべきかという視点に立ち、これからも報道を続けていきます。