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公開:2016-03/16
更新:2016-03/17 部分的に加筆・修正
最近いろんな記事でちょこちょこ紹介していますが、この本を3ヶ月くらいやってきて大きな効果を感じているので、1つの記事にしてみました。
もともとのリスニング力・英語力もよるので、「これ1冊だけでネイティブレベルの英語が飛躍的に聞き取れるようになる」というわけではないですが、きちんとトレーニングすれば、ネイティブレベルの聞き取れる"音"は確実に増えます。
「日本人向けに作られた英会話本のクリアで聞き取りやすい英語」と「映画・ドラマで話されるネイティブの英語」の間には、けっこう大きな段差があると思うのですが、この本はその段差を埋めてくれる感じです。
詳しく見ていきましょう(=゚ω゚)ノ
この本の概要
全部で16 Sceneあり、1 Sceneがだいたい2分~2分半くらいで、全体では40分くらいになります。
各Sceneの終わりに、発音やイントネーションを解説した「PHONETIC FOCUS」というコーナーがありまして、これがとても勉強になります。
この本のおすすめポイント
● 発音・イントネーションの解説が丁寧
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映画やドラマで学習していると、「なんでこんな発音になるんだろう?」というのがけっこうあるんですよね。
森田勝之さんのこのシリーズは、上図のように発音やイントネーションを解説した「PHONETIC FOCUS」というコーナーが設けられていて、弱く発音される音、強く発音される音、音の連結・消失などがかなり詳しく解説されているので目からウロコです。
もう20年以上もかかって統計を取って整理した日本人のリスニングの弱点を網羅するという方針は変わっていません。
…(中略)…この作品には、海外ドラマ数本分の音変化が入っています。(P.4~5)
精聴(音の分析)をした上で、毎日【 オーバーラッピング 】してきた結果、TOEIC勉・英検勉では獲得しにくかった、ネイティブのナチュラルスピードでの聞き取れる音の割合が増えてきたなと。
● 語句の解説が充実してる
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上図を見るとお分かりいただけますが、左ページに英文スクリプト、右ページに日本語訳と語注というレイアウトになっています。
この語注での、語彙・フレーズの解説がかなり丁寧な部類に入るかなと。発音が難しいものには発音記号まで付いてる親切さ!
また、映画やドラマでは、言葉が省略されることも多いですし、背景知識を知らないと理解できない台詞も多いですが、映画やドラマ内では、そのことについて説明されることってまずないと思うんです。
ですが、この本には、省略されている言葉や、背景知識についての説明もあるので、このテキストだけでかなりいろんなことが学べるなと。The 至れり尽くせり。
あと、ストーリーが良かったです。ツッコミを入れようと思えばいくらでも入れられますが、それでも個人的には好きなお話でした。声優さんの演技は、TOEICや英検よりもはるかに臨場感があるので、状況をイメージしやすかったです。
改善希望点
個人的には不満はないに等しいくらいのテキストなのですが、改善希望点のない本は存在しないと考えているので、きちんと挙げておきます。とは言え、買うのをためらうほどのものではないです。
● 誤植がわずかにある
最初「誤植がチラホラ・散見」と書いてましたが、きちんと確認してみたら4箇所だけでした。さすがに「チラホラ・散見」は言い過ぎだと感じたので、訂正しておきます<(_ _)>また、誤植の箇所を挙げておきます。おそらく合ってるはず。
誤:infraction
正:infarction
「infraction(違反)」ではなく「infarction(梗塞)」だと思います。微妙にスペルが違う。「myocardial infarction(心筋梗塞)」なので。
P.70 Mrs. Korkington
誤:continues receive
正:continues to receive
「continue to do(~し続ける)」なので「to」が必要。
P.98 Dr. Robb
誤:so I like to
正:so I'd like to
会話の流れと日本語訳からすると「would like to do(~したい)」の「would」が入るはず。ただ、「I'd」の「'd」は発音されないことも多く、このCDでもほとんど聞き取れない。
【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
P.109 Dr. Jenkins
台詞の一部に日本語訳がない。でも難しい英文ではないので問題ないと思います。
あと、数名の声優さんが一人二役しているのがちょっと気になりました。頑張って声色を変えておられるのですが、「バレバレやん!ヾ(゚Д゚ )」みたいな(笑)
ただ、声優を増やすと、当然テキストの値段も高くしないといけなくなるので、これは仕方ないのかなと(^_^ゞ
こんな人におすすめ
● 映画やドラマを字幕なしで!
日本人の夢ですよね(笑)正直言うと、この『海外ドラマが聴きとれる!ストーリーで学ぶ英語リスニング』は、平均的な映画・海外ドラマの速さと比べると、若干ゆっくりめだと思います。
個人的には、逆にそれがちょうど良かったかなと。
若干ゆっくりとは言え、日本人向けに易しめに作られた英会話本のナレーターよりは速く話す人が多く、「音の連結・消失」も、よりネイティブに近いです。
TOEICや英検の会話よりも、より自然な英語に感じます。なので、映画・ドラマを使ったトレーニングに入る前の第一歩として最適ではないかと。
PCからだと、「Amazonにあるこの書籍のページ」で試聴ができるので、興味のある方は聴いてみるといいと思います。
※スマホでは無理っぽいです…
● TOEICリスニング400点以上推奨
初心者向けではないです。基本的な文法・語彙を知っていて、ある程度リスニング力がないと厳しいので、TOEICリスニング400点くらいはあったほうがいいと思います。
● 新形式のTOEICのリスニング対策に
2016年5月からスタートする新形式のTOEICでは、「wanna」「gonna」が出たり、言葉の省略が出たり、言い淀みがあったりしますが、そういったものにもこの本で慣れることができます。話す速度は、TOEICのナレーターの平均速度よりは速いです。ゆっくり話す人もいますが、TOEICのオーストラリア人よりも速く話す人もいます。
現在リスニング400点以上で、「速い英語に慣れたい。TOEIC勉に特化したくない」という方にもオススメ。
勉強のやり方
● ディクテーション(精聴)
きちんと音の解析をせず、ただ聞き流すだけだと、効果はほとんどないのは経験上痛感しているので、まずはディクテーション(精聴)をやりました。
上図にあるように、オレンジ色のペンで音が連結している部分には「⌒」、音が消えている部分には打ち消し線「
音の連結・消失については次の記事を参考にしてみて下さい。
【参考】英語 リスニングのコツがつかめる7つの発音ルール
また、早口な人はすごく速く話すので、PCの「WMP」や「ウォークマン」で0.7倍速から始めました。
(1) スマホの無料アプリ「語学プレーヤー(iPhone・Android)」
(2) Windows Media Playerの「再生速度変更機能」
(3)「SONYのMP3ウォークマン」の再生速度変更機能
ちなみに、1トラックめの冒頭の音楽が長いんですよね。繰り返しトレーニングするには冗長なので、MP3化した後に「Online MP3 Cutter」で会話の部分だけ抜き取りました。
● オーバーラッピング&シャドウイング
精聴が終わったら、【 オーバーラッピング 】をやり始めました。「発音できない音は聞き取れない」ということはないですが、自分でスラスラ発音できる音は、聞こえてきた瞬間に聞き取れるようになりますし、英会話のときにも、スピーキングで通じやすくなるので、きちんとやっておいたほうがいいと感じています。
最初は1 Sceneずつオーバーラッピングで、0.7倍速から始めました。ある程度言えるようになったら(1週間くらい?)、次のSceneへ。
16 Sceneすべて終わったら、
● 少し速度を落として通しシャドウイング(きちんと音を再現できるかの確認用)
● 速さに慣れるために、1.5~2.0倍速でスクリプトを見ながら【 速聴 】
などなど、いろんなトレーニングをやっています。
● 暗唱・瞬間英作文
理想を言えば、【 暗唱 】や、苦手な英文だけでも【 瞬間英作文 】をしたほうが定着度は高く、スピーキングでも使えるようになります。と分かってはいるものの、どうも1冊のテキストにそこまでやる気がおきないので(笑)、とりあえず50周したら、次の森田勝之本か映画・ドラマでのトレーニングに進むことを考えています。
映画・海外ドラマで学習された有子山博美さんが、「洋画・海外ドラマDVD学習法」で、
忙しい方や、少しでも多くの映画やドラマを観たいという方がほとんどではないでしょうか。(かくいう私も、1本を何度も観ると飽きてしまい、苦痛になるタイプです)。
そんな方は、「1本を100%理解する」ではなく、「複数本をそれなりに理解する」を目標にされることをおすすめします。
定番フレーズや定番ボキャブラリーは、イヤでもいろんな映画・ドラマに共通して出てきますので、最初の出会いでカンペキに覚える必要はありません。何度か遭遇するうちに、自然と覚えるはず。
と仰っておられるので、僕も「質は7~8割くらいにして、量を重視」でやっていこうと。
おすすめ関連書籍
『映画英語のリスニング 恋するブルックリン』
こちらはつい最近買いました。内容的には『海外ドラマが聴きとれる!ストーリーで学ぶ英語リスニング』よりも、『恋するブルックリン』のほうが日常生活で使える実用的な表現が多い感じがします。
が、実際にトレーニングをやってみると、難易度は『恋ブル』のほうがはるかに高いなと。
話すスピードも速く、曖昧な発音や崩れた発音も多く、つまりは生のネイティブ同士の会話により近いものになっています。
0.7倍速でもよく聞き取れない音があります。聞き取れなさ過ぎて、ちょっと心が折れそうになってますが(笑)、とりあえず50周は頑張ります(≧д≦)q
PCからであれば、この本の音声もAmazonのページで試聴ができます。聴き比べてみるといいと思います。
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