さくら学院が3月13日に東京・THE GRAND HALLにて、公開授業「歌の考古学~2015年度~」を開催した。
さくら学院校長でありミュージシャンの顔も持つ放送作家の倉本美津留を講師に迎え、毎年度末に実施されている「歌の考古学」。この授業は「自分が生まれる前に発表された楽曲」という条件のもと生徒自らが選曲した楽曲を、自分なりの歌詞解釈などをプレゼンしてからアカペラ歌唱するという内容で行われる。1時限目には大賀咲希、白井沙樹、黒澤美澪奈、岡田愛、麻生真彩、吉田爽葉香、2時限目には磯野莉音、倉島颯良、山出愛子、岡崎百々子、日高麻鈴、藤平華乃が出席。倉本、担任の森ハヤシ、そして会場に駆け付けた父兄(さくら学院のファン)が見守る中、さくら学院は1人ずつ発表を行った。
1時限目のトップバッター・吉田が研究の題材にしたのはテレビアニメ「タッチ」のオープニングテーマとして1985年に大ヒットした岩崎良美の「タッチ」。彼女は双子のお笑い芸人、ザ・たっちのコンビ名がこの「タッチ」に由来するというエピソードなどを交えながら熱弁し、1番手のプレッシャーを感じさせない堂々としたプレゼントークとアカペラを高く評価された。麻生は両親の薦めで知ったという小泉今日子「あなたに会えてよかった」を題材にし、共感した歌詞を説明したあと歌唱。麻生の歌を聴いた白井は「最初は緊張してたのに立派に発表してるところとか歌ってるところを見ると涙が……」と泣き出し、大賀がすかさず「しーちゃんはいつもお母さん感覚なんですよ」とフォローすると会場は笑いに包まれた。
岡田は母に勧められたというKANの楽曲の中から「言えずの I LOVE YOU」を選び、冒頭の「夜もねむれない 昼もたべてない」という歌詞をピックアップ。彼女はユーモアのあるKANの歌詞に衝撃を受けたと語りつつも、直接的に気持ちが伝わることに感激した様子で「なかなか咄嗟に言葉が出ないけど、自分の言葉でちゃんと気持ちを届けられるようになりたい」と今後の目標を述べた。続く黒澤は中森明菜の代表曲「少女A」を題材にし、歌詞の「17歳」の部分を自分の年齢である14歳に替えて熱唱。「私はプロとかベテランとか言われることがありますが、実際はたくさんポンコツな部分があります」と語った彼女だったが、能弁なプレゼントークとパワフルな歌唱で、父兄から盛大な拍手を浴びた。
2時限目は藤平が先陣を切り、映画「耳をすませば」でおなじみの「カントリー・ロード」の歌詞をさくら学院での活動に例えて紹介。岡崎はテレビで流れているのを聞いて好きになったという森高千里「私がオバさんになっても」をリズムを取りながら伸びやかに歌唱する。山出はさくら学院の楽曲「Hana*Hana」をヒントに見つけた花*花の「あ~よかった」をチョイス。たった1人の同期であり、3月27日をもってさくら学院を卒業する白井へ感謝の気持ちを込めて熱唱した。
日高と倉島は映画「魔女の宅急便」のエンディングを飾る荒井由実「やさしさに包まれたなら」をセレクト。歌唱曲がかぶるというのは「歌の考古学」史上初めての出来事だったが2人はそれぞれ楽曲に対する思いを熱弁し、楽曲を歌う。プレゼンが終わった2人に倉本が「2人で歌ってみたら?」と提案すると、日高と倉島は1本のマイクを使って「やさしさに包まれたなら」を歌唱し盛大な拍手を浴びた。
中等部3年の磯野、大賀、白井にとって、今回「歌の考古学」は最後の公開授業イベント。白井はリスニングの上達のために聴き始めたというThe Beatlesのナンバーから「Let It Be」を選び、「Let It Be」は「未来は自然とやってくる」という意味だと解釈したと語る。さらに彼女は「さくら学院のみんなも不安を抱えてると思う。私も不安だった。でも私は(後輩の)みんなに任せればさくら学院は来年度も大丈夫って信じています。『未来は自然とやってくる』という言葉を思い出してがんばってほしいです」と後輩たちにエールを送った。
大賀は題材にした中島みゆき「誕生」のタイトルにちなみ、自分の生誕から現在までの写真を紹介。そしてそれぞれの時代の自分を重ねた歌詞の解釈を披露し、さくら学院を辞めたいと思ったこともあったが父兄の支えがあって4年間続けることができたと明かす。そして「まだ力不足かもしれませんが、私も皆さんにとっての希望になれたらいいなと思いました。私がさくら学院を卒業したあと、もし二度と立ち直れないようなつらいことが起こったときには、今日私が歌った『誕生』を思い出してほしいです」と締めくくり、力強い歌声を響かせた。
この日大トリを務めた生徒会長の磯野は、昨年度生徒会長の菊地最愛も歌ったKiroro「未来へ」を選曲。当時中学3年生だった玉城千春が母に向けて書いた歌詞に共感したという彼女は、これまで伝えることができなかった母への感謝の気持ちを口にする。そして「お母さん、ありがとうございます」と言ったあと、会場に訪れているという母に向けて「未来へ」を1つひとつの歌詞を噛みしめるように丁寧に歌った。
2015年度さくら学院が出演するイベントは3月22日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて行われる「The Road to Graduation 2015 ~放課後アンソロジー レッツ スタンディング~」と、3月27日に神奈川・神奈川県民ホールにて開催される「The Road to Graduation 2015 Final ~さくら学院 2015年度 卒業~」のみ。神奈川県民ホール公演は全国の映画館でのライブビューイング中継も行われる。