意外なマンガ家が描く子育てマンガが面白い

「子育てマンガ」というジャンルがあります。もうこれは説明不要で文字通り。昔からファミリーマンガ誌や主婦向けのマンガ雑誌には載っており、有名なところではアニメ化もされた『ママはぽよぽよザウルスがお好き』(青沼貴子)、『うちの3姉妹』(松本ぷりっつ)などがあります。ジャンルとしてはエッセイマンガの一部ですね。

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ただ、対象がそれまでは限定的な感じだった育児マンガの裾野が一気に広がったのは、おそらく西原理恵子の『毎日かあさん』の頃からではないかと思われます。
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それ以降、マンガ家で結婚、子育てをネタにしてマンガを書く人は、ファミリー雑誌、育児雑誌に限らずとも急速に増えていった感じがします。

しかしその中には「えっ、この人が子育てマンガを?」という、過去の作品から比べると驚くケースもあります(前述の西原さんのがそれまでの作風を知っている人からはまさしくそれだったので)。しかしそれがまた過去の作風を生かしつつも新たなネタが舞い込んでいる感じでおもしろいものがけっこうある感じで、子どもがいないどころが独身の自分でもギャグエッセイ的に興味深く読むことが出来たりします。

というわけで、今日はそんな子育てマンガをいくつか紹介してみます。

『まんが親』(吉田戦車)・『おんなの窓』(伊藤理佐)

吉田戦車・伊藤理佐のマンガ家夫妻。そのおふたりの作品。

しかし『伝染るんです。』的作風の吉田戦車が子育てマンガ、というので頭の中でかなりシュールになっている人もいるかもしれませんが。まあたしかに言動にはシュールな所を含みながら、ちゃんと子育てマンガとなっているのがおもしろいところ。

後者は週刊文春の目次ページで連載しているため、普段マンガを読まない人でも目にしたことがありそうです。ただ、連載当初は結婚もされていなかったので、途中からエッセイマンガの成分に子育て要素が入ってきて子育てマンガになったという感じです。単行本では文章が加筆されていたり、ページマンガが入っています。

しかし両方とも両親が容赦なくネタになっています。マンガ家夫妻だとこのへんリミットをかける必要がなく、思いっきり描けるという利点があるのかもしれません。

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『よんこまのこ』(重野なおき)・『マママのお仕事』(藤島じゅん)

4コママンガ家夫妻、重野なおき、藤島じゅん夫妻がそれぞれで出している子育てマンガ。

これも前述の吉田戦車夫妻同様、同じ子であるけど父親サイド、母親サイドの両方から見られるのが、それぞれの作風の違いも相まってなかなかおもしろいことになっています。何故か藤島じゅんさんのほうのマンガでは重野さんがマリモになってるし。

ちなみにこれを「意外なマンガ家」としたのは、実は藤島じゅんさんの方。その理由は、中~後期『ゲーメスト』を読んでいて、読者コーナー「ゲーメストアイランド」を読まれていた方ならご存じだと思います。そこで「しろくろ」というペンネームで、その時(格ゲーブーム全盛期)でも既にレトロゲームの範疇に入っていた『オーダイン』のネタで投稿しまくっていた常連がいたのを。それが(以下略)。ちなみに同じようにゲーメスト系雑誌に投稿していたエドモンド荒川という人が同じようにマンガ家で荒川弘さんという、どっちも男性名のようで女性のマンガ家という。このへんは今部屋の整理をしていて昔のゲーム雑誌を掘り返しているので、発掘したらそのうち。

ちなみに『マママのお仕事』の一部は、Webコミックとして連載されています。

今日のふじしま – livedoor Blog(ブログ)

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『そせじ』(山野一)

こちらは父親のみですが、「山野一」の過去作品を知っている人がさぞ驚かれると思います。そう、かつて『ガロ』を中心に活躍し、『四丁目の夕日』『どぶさらい劇場』、そしてねこぢる&ねこぢるy名義で『ねこぢるうどん』など書かれた山野一さんです。
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『ガロ』の休刊以降作品が途絶えていた山野氏でしたが、何年か前に結婚されて、双子が誕生、その子育てマンガも描かれています。

絵柄はさすがに『四丁目の夕日』ではなく、後期のねこぢるy風に近いものですが、そのシュールな雰囲気(但しダウナーなほうではなく、どっちかというとアッパーかな、という感じ)を残しつつもファミリーしているなかなかおもしろいものになっています。

ちなみにこちらはKindleでの書き下ろしで比較的安価という面白い試みでもあるので、読まれる方はそちらをどうぞ。
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色々発掘してみよう

今回の子育てジャンルのように、普段縁がなさそうなところでも新たに目を向けると、そこに新しい面白さが埋まっていて楽しいことがわりとあります。自分の場合は10年くらい前の4コママンガ雑誌がそれでしたね。最近数年前に比べて多忙で読むペースもジャンルも減っている感じですが、電子書籍という便利なものもありますし、今後もこういったところ含め、色々探ってみておもしろいものを発掘したいです。

追記

書き終えてから、そういえば最近『ど根性ガエルの娘』で、父親として描かれた吉沢やすみ氏も大昔『パパとゆっちゃん』というエッセイを出していたなあと思い出しました(たしか4コマ誌でのストーリー連載だった。で、今調べたらKindle版が出てた)。これについては『ど根性ガエルの娘』が未読なのでこちら読んでからまた。
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