アルツハイマー病の初期の物忘れは、記憶がないわけではなく、記憶を呼び出せないのが原因であることを理化学研究所脳科学総合研究センターの利根川進センター長らのチームがマウスの実験で示した。記憶を担う細胞を人為的に活性化させることで特定の記憶を呼び戻せた。17日付英科学誌ネイチャーに発表する。
アルツハイマー病では1日前に会った人を忘れるなどの記憶障害が現れる。
健康なマウスに弱い電気を流すと体を一瞬すくませる。箱に入れてから行うと、怖い経験として記憶に残り、箱に入れただけですくむようになる。一方、遺伝子操作で初期のアルツハイマー病に似た脳の変化を起こさせたマウスは、1日たつと怖い記憶を思い出せないため、箱に入れてもすくまない。
チームは、このアルツハイマー病マウスに、電気を流した時に脳で活動する神経細胞群が、光を当てた時だけ活性化するような特殊な遺伝子操作をした。すると、怖い経験から1日たっても、光を当てるとすくみ行動を示し、記憶が残っていることがわかった。
さらにアルツハイマー病マウスでは、神経細胞群のつなぎ目にある突起状の構造が減少し、細胞群の活性化がうまくいっていないこともわかった。チームは、これが記憶を思い出せなくなる原因だとみている。
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(瀬川茂子)
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