『侵略者を撃て』あらすじ
★放映日時 : 昭和41(1966)年7月24日
【平和な夜だった。
気温も快適、湿度も快適。
さすが夜更かしの東京も、すやすやと眠っている夜だった-】
科特隊員のイデとアラシは、寝室の二段ベッドで眠っていたが、
急に警報が鳴り、緊急招集で呼び出される。
防衛基地からの連絡によれば、
東京の上空に強い怪電波を発する物体が現れたらしい。
先に調査に出ているハヤタが、
物体の正確な位置を特定し、情報を知らせてきた。
「北緯三十五度三十七分。東経百三十九度四十四分」
それは東京の中心に当たる地点で、科学センターのある場所だった。
アラシは一番乗りで科学センターに行くが、
警備員が歩く姿勢で立ち止まっている姿を目撃する。
得体の知れない何者かによる仕業だと思い、
廊下のほうへ意識を集中すると、人影のようなものが見えた。
しかし、背後に別の影が現れ、
アラシはその者が発した赤い怪光線によって動けなくなってしまう。
背後にいた影と廊下にいた影は、重なってひとりの宇宙人の姿になった。
そして、奇妙な笑い声をあげて姿を消した。
そんななか。
隊長のムラマツは防衛会議に出席していた。
軍の首脳は最新ミサイルの「ハゲタカ」を使って、宇宙人と戦おうと息巻くが、
ムラマツは「相手の要求を聞き、欲しい物を与えて去ってもらう」という策を提案する。
反対する者も多かったが、他にこれといった意見がなかったため、
ムラマツの意見が採用され、宇宙人と対話することになった。
交渉役として、宇宙語に詳しいイデに白羽の矢が立ったが、
気の弱い彼は、宇宙人と遭遇してしどろもどろになってしまう。
そこでハヤタが代わりに話し合うことになり、
地球へ来た目的などを聞き出すが、
宇宙人はやがて、侵略の意思を明らかにしはじめるのだった-。
ハヤタ : 黒部進
ムラマツ : 小林昭二
アキコ : 桜井浩子
イデ : 二瓶正也
アラシ : 石井伊吉
登場宇宙人 : バルタン星人
脚本 : 千束北男
(敬称略)
感想
ご存知バルタン星人の初登場の話です。
「フォッフォッフォッ・・・」という独特の笑い声と、
アラシを操って喋る抑揚のない声が、すごく印象的ですよね。
子どもの頃、「ワレワレハウチュウジンダ」と、
扇風機の前で声色を変えて遊ぶことがありましたが、
そのルーツはもちろん、バルタン星人から来ています。
ハヤタ「君たちが地球にやってきた目的は何か?」
バルタン星人「われわれが、君たちが地球と呼ぶM240惑星に来た目的は-」
バルタン星人の話によれば、ある科学者の実験によって母星が爆発してしまい、
たまたま宇宙旅行に出ていた一団は、故郷に帰れなくなったそうです。
しかも運の悪いことに宇宙船が動力バランスを崩してしまい、
その修理のために地球に立ち寄ったとのことでした。
話の通りなら、なんとも気の毒なことですが、
最初から地球を侵略する意図があるとしたら、嘘なんでしょうね。
ハヤタ「私の友人や警備員や防衛隊の人々の生命を奪ったのは?」
バルタン星人「生命?わからない。生命とは何か?」
ハヤタ「君たちはこれから何をするつもりなのか?」
バルタン星人「われわれの旅はこれで終わったのだ。
地球はわれわれにとって、住みよいところになるだろう・・・」
バルタン星人も命ある存在なのに、生命がわからないとは不思議です。
目的のためなら手段は選ばないという、酷薄さを表しているんでしょうか。
ハヤタ「いいでしょう」
イデ「ええっ?」
ハヤタ「君たちがこの地球の風俗・習慣に馴染み、
地球の法律を守るならば、それも不可能なことではない。君たちは何名いるのか?」
バルタン星人「20億3000万ほどです」
イデ「おい、なんだって?」
バルタン星人「われわれの見えない宇宙船の中に、
君たちが知っているバクテリアくらいの大きさになって眠っている。
ノーマルなままでいるのは一人だけだ」
イデ「話にならん。世界中の人口を合わせたって22億なのに」
ハヤタ「火星に住んだらどうだ」
イデ「うむ」
バルタン星人「火星にはわれわれの嫌いな・・・」
ハヤタ「どうした?なぜ黙っている」
バルタン星人「それは言えない」
イデ「ちくしょう、いいところで・・・!」
バルタン星人「話は終わりだ。われわれは地球を貰う」
ハヤタが共存を持ちかけたことに驚きましたが、
ウルトラマンは本来、「戦わずに地球の平和を守りたい」と考えていたのかも知れません。
でも、バルタン星人はやる気満々でしたね。
とうとう巨大化して暴れ出すんですが、
夜戦だったので、最初に観た時はちょっと怖かったですよ。
ちなみに、バルタン星人の弱点は「スペシウム」でした。
だから、スペシウム光線を必殺技とするウルトラマンが相手では、
最初から勝負が決まっていたようなものです。
ところが・・・
凶悪なバルタン星人はなぜか人気のあるキャラクターになったので、
その後、しばしば登場することになります。
分身の術を使ったりして「宇宙忍者」と呼ばれるのも、
魅力のひとつなのかも知れません。
敵方にこうしたライバルがいると、バトルものは面白くなりますね。