佐藤啓介
2016年3月18日15時35分
2014年に神戸市長田区で小学1年の女児(当時6)が殺害された事件の裁判員裁判で、殺人などの罪に問われた無職の君野康弘被告(49)に対し、神戸地裁(佐茂(さも)剛(たけし)裁判長)は求刑通り死刑の判決を言い渡した。被告側は即日控訴した。
判決によると、君野被告は14年9月11日午後3時半ごろ、自宅アパート近くの路上を歩く女児にわいせつ目的で近づき、「絵のモデルになって」と声をかけて自室に誘い込んだ後、首を絞めるなどして殺害。遺体を傷つけて複数のポリ袋に入れ、近くの雑木林などに遺棄した。
被告は殺人と死体損壊、死体遺棄の罪は認め、わいせつ目的誘拐は「記憶にない」と否認。女児に声をかけたのはわいせつ目的だったか、死刑を選択すべきかが裁判の争点となった。
検察側は、被告は事件前にインターネットの交流サイトで少女と会話のやり取りをし、幼女のわいせつ動画も見ていた点を挙げ、性的興奮が高まった状態で女児を尾行したと主張。わいせつ目的は明らかとしたうえで「生命軽視の姿勢は顕著。死刑を回避すべき事情はない」と述べた。
弁護側は、被告は偶然出会った女児と友達になりたいと考えて声をかけたと反論。「飲酒の影響で衝動的に行動した。心から後悔している」として懲役25~30年が相当と主張。仮にわいせつ目的の誘拐が認められるとしても、無期懲役にとどめるべきだと訴えた。
過去の裁判員裁判で死刑判決を受けた被告は26人。3人が被害者1人の事件で、うち2人は控訴審で無期懲役とされ、最高裁で確定している。(佐藤啓介)
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!