2016/3/18 7:08

1999年のジロでのパンターニ失格にイタリア・マフィアが関与
1999年のジロでのパンターニ失格にイタリア・マフィアが関与していたことが決定的に!イタリア警察調査の執念が形に、世界中に今でも愛され続けるストイックすぎた男は、賭博の犠牲者だった
様々な陰謀説が囁かれてきたパンターニ問題に関して、一つの方向性が示されることとなりそうだ。その死に関しては、何度となく行われた再調査の中でも、薬物の過剰摂取という方向性が崩れることはなかったが、パンターニの人生が狂った1999年ジロ・デ・イタリアで失格処分となったことに関して、イタリア・マフィアの関与が決定的となった。
前年度の1998年にダブルツールを達成、1999年もジロ・デ・イタリア優勝目前だった。ステージ4勝を挙げ、連覇目前だった大会最終日前日に、UCIではなくイタリア自転車競技連盟が抜き打ちで行った検査(検査を行ったのはUCI所属の医師)で、ヘマトクリット値異常(赤血球濃度異常)が発覚、そのまま出場停止となったのだ。
常にその可能性は噂されていたが、今になり違法賭博での多額の負けを回避するために、イタリア・マフィアが手を下したということが、関係者の証言の中で出てきたのだ。
実は1999年の段階で、違法賭博に絡んでカモッラファミリー(ナポリを中心とするマフィア)が関与したことを突き止めていたトレント警察は調査を行ったが、結果的に関係者がその関与を否定したことで捜査が行き詰まり、そのまま捜査は打ち切られてしまったのだ。
しかしフォーリ警察の再調査の中で、カモッラファミリー内部からの告発があり、当時のイタリア自転車競技連盟とUCI所属医師が、賄賂を受け取り検査結果操作を操作したことが確定的となったのだ。そして幹部クラスがついにその重い口を開いたのだ。
「何人かの幹部と話をしたが、もしパンターニがジロを制すれば、破産は免れない状況だったんだ。それを避けるために関係者を買収したんだ。一つ言えるのは脅したのではないということ、ただ単純に自転車関係者とUCIの性根も腐りきっていたということだよ。」
これらの証言により、当時調査をした担当官が、血液のすり替えなどではなく、直接パンターニの血液サンプルに手を加えで検査結果操作をしたことは疑いようがないと結論づけている。ディプラズマテーションという技法で血小板値を操作したことは、ヘマトクリット値上昇の血液サンプルがイモラで数時間後に行われた再検査では正常値に戻っていたことからも証明できる。
ただ現状のままではこれ以上の追及は困難であり、警察も捜査の限界だとしている。ここからさらに踏み込んだ捜査と追求を行うには、パンターニの遺族が正式に法的な措置に踏み出す必要、もしくは今回の1999年の検査結果操作に対しての法的な場での再検証を求めることが必要となる。パンターニの母親は、今回の調査結果を踏まえてコメントを出している。これ以上の調査を求めるかどうかは遺族次第だが、一つの結論が出たことに関しては、安堵の気持ちを吐露している。
「ようやく真実が出てきた。フォーリ警察の努力にはとても感謝している。とても難しい捜査だっただろうが、これにより息子に着せられた汚名がようやく晴らされることになった。息子はこの一件から人生を失った。このような捜査が行われることをずっと待っていたんだよ。これで息子が帰ってくるわけではない、でもこれでようやく心穏やかになれる気がするわ。やっとここまで来たわ。」
パンターニは15日間の出場停止だったにも関わらず、その後のシーズンの出場を拒否し、自らの無実を口にし続けた。裁判ではこの一件でも、その後の2001年のドーピング問題でも無罪となっているが、哲学者と呼ばれた男のガラスのような繊細な精神は持ちこたえることができなかった。ストイックで実直、寡黙で生真面目すぎるがゆえにスケープゴートに祭り上げられた感は拭えない。
1998年のツール・ド・フランス優勝時の保存血液の2013年度の再検査では、EPOが検出されたのは事実だ。ただ当時は禁止薬物には指定されていなかった事もまた事実である。当時のルールブック上では問題がなかったということになるが、それでも薬物汚染が既に指摘されていた時代だけに完全に正当化することはできない。だが今回の調査で、少なくともUCIがドーピング対策として設定していたヘモクリット値を超えていたことが、今まで「過剰摂取による自業自得」とされていたものが、第3者の手によって操作されたものであったことがわかった。厳しい目で見れば、それでもEPOを摂取していたのだろうということを言う人もいるだろう。ただここで重要なのはそこではない、当時のルールでは処分されるべきではなかった一人の男が、犯罪組織とそれに加担した自転車界内部の人間による意図的な工作により人生を狂わされたのだ。少なからずそのことは真摯に受け止めなければならない。
海賊とよばれた男は今でも世界中の人に愛され続けている。
H.Moulinette
『マフィアの賭博により巻き込まれた人生 (C)Tim D.Waele』 |
常にその可能性は噂されていたが、今になり違法賭博での多額の負けを回避するために、イタリア・マフィアが手を下したということが、関係者の証言の中で出てきたのだ。
実は1999年の段階で、違法賭博に絡んでカモッラファミリー(ナポリを中心とするマフィア)が関与したことを突き止めていたトレント警察は調査を行ったが、結果的に関係者がその関与を否定したことで捜査が行き詰まり、そのまま捜査は打ち切られてしまったのだ。
『どこまでもストイックな男だった (C)Tim D.Waele』 |
「何人かの幹部と話をしたが、もしパンターニがジロを制すれば、破産は免れない状況だったんだ。それを避けるために関係者を買収したんだ。一つ言えるのは脅したのではないということ、ただ単純に自転車関係者とUCIの性根も腐りきっていたということだよ。」
これらの証言により、当時調査をした担当官が、血液のすり替えなどではなく、直接パンターニの血液サンプルに手を加えで検査結果操作をしたことは疑いようがないと結論づけている。ディプラズマテーションという技法で血小板値を操作したことは、ヘマトクリット値上昇の血液サンプルがイモラで数時間後に行われた再検査では正常値に戻っていたことからも証明できる。
ただ現状のままではこれ以上の追及は困難であり、警察も捜査の限界だとしている。ここからさらに踏み込んだ捜査と追求を行うには、パンターニの遺族が正式に法的な措置に踏み出す必要、もしくは今回の1999年の検査結果操作に対しての法的な場での再検証を求めることが必要となる。パンターニの母親は、今回の調査結果を踏まえてコメントを出している。これ以上の調査を求めるかどうかは遺族次第だが、一つの結論が出たことに関しては、安堵の気持ちを吐露している。
『あの走りは多くの人に記憶の中に (C)Tim D.Waele』 |
パンターニは15日間の出場停止だったにも関わらず、その後のシーズンの出場を拒否し、自らの無実を口にし続けた。裁判ではこの一件でも、その後の2001年のドーピング問題でも無罪となっているが、哲学者と呼ばれた男のガラスのような繊細な精神は持ちこたえることができなかった。ストイックで実直、寡黙で生真面目すぎるがゆえにスケープゴートに祭り上げられた感は拭えない。
1998年のツール・ド・フランス優勝時の保存血液の2013年度の再検査では、EPOが検出されたのは事実だ。ただ当時は禁止薬物には指定されていなかった事もまた事実である。当時のルールブック上では問題がなかったということになるが、それでも薬物汚染が既に指摘されていた時代だけに完全に正当化することはできない。だが今回の調査で、少なくともUCIがドーピング対策として設定していたヘモクリット値を超えていたことが、今まで「過剰摂取による自業自得」とされていたものが、第3者の手によって操作されたものであったことがわかった。厳しい目で見れば、それでもEPOを摂取していたのだろうということを言う人もいるだろう。ただここで重要なのはそこではない、当時のルールでは処分されるべきではなかった一人の男が、犯罪組織とそれに加担した自転車界内部の人間による意図的な工作により人生を狂わされたのだ。少なからずそのことは真摯に受け止めなければならない。
『愛され続ける男 (C)Tim D.Waele』 |
H.Moulinette