久永隆一
2016年3月18日11時39分
18年ぶりに2万5千人を下回った昨年の自殺者について、内閣府は18日、原因を分析した結果を公表した。「健康問題」は前年より大きく減ったが、「学校問題」は増え、「家庭問題」はほぼ横ばいだった。家庭問題の中では、「介護・看病疲れ」と「子育ての悩み」が計365人いた。
昨年の自殺者2万4025人のうち、遺書などから原因が特定できた1万7981人を分析。1人につき最大で三つまで挙げた。
「健康問題」が1万2145人で最も多く、前年より6・0%少なかった。「経済・生活問題」の4082人(1・5%減)、「家庭問題」の3641人(0・1%減)が続いた。入試や進路の悩みなどの「学校問題」は384人で、3・2%増えた。
家庭問題の内訳をみると、「介護・看病疲れ」は243人。50~70代が7割を超え、男性が6割だった。「子育ての悩み」は122人。40代以下が8割超で、女性が8割を占めた。
比較できる2007年以降でみると、「介護・看病疲れ」「子育ての悩み」はともに11年がピークで計485人。その後は減少傾向にあるが、毎年計300~400人ほどが亡くなった。安倍政権は「1億総活躍社会」の実現を掲げ、介護や子育てのしやすい社会を目指している。
一方、東日本大震災に関連した自殺者は前年より1人増えて23人だった。県別では福島が前年より4人増えて19人、岩手は同数の3人、宮城が3人減の1人だった。福島の多さについて、内閣府の担当者は「避難生活の長期化などで孤立化していることが背景と考えられる」とみている。(久永隆一)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!