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■高橋尚弥(たかはし・なおや)=4年

 理工学部電気電子情報工学科で電子回路を学ぶ4年生。酒井監督いわく、「成績も非常に優秀」。高橋は「理系の勉強もできるから東洋大を選んだ」。そんな「文武両道」が今季の東洋大の活躍の鍵を握る。

 進学校の岩手・黒沢尻北高出身。高校時代は県内ではトップレベルの選手だったが、全国的には無名の存在だった。東洋大入学後はなかなか芽が出なかったが、昨季の箱根駅伝で山下りの6区で区間8位。「すごく緊張した。応援がすごかったことは覚えています」。今季は5000メートルで13分台に突入し、1万メートルでは28分台が目の前のところまできた。「28分半で走れるようになりたい」。もう一歩でチームの主力となりうる存在にまで成長した。

 入学後、大きなケガなどはなかった。遅咲きとなった理由について、酒井監督はこう語る。「大きな選手は、小さい選手に比べて筋力が必要なので、どうしても時間がかかります」。高橋の身長は180センチで体重は62キロ。その体格を生かしたストライド走法が持ち味だ。

 ただ、本人は自分の走りがあまり気に入っていない。「変な走りだって、ばかにされます。ひどいです。肩が丸まって、足が流れて」。確かに練習で走る姿を見ると、猫背の走り方が少し気になる。「入学の時よりは良くなっていると思う」。発展途上だ。

 取材での声は小さめ。「リーダーシップはありません」と語るなど控えめなタイプかと思いきや、「全日本では1区を走りたい」。その心は「テレビにいっぱい映るから」。やはり声は小さかったが、「目立ちたがり屋」な思いも持っている。

 大学で走ることの魅力を再確認した。もともとは大学を卒業したら、競技をやめるつもりだったが、「走っている時が一番輝ける」と来季からは実業団に進むことを決めた。「日の丸がつけられる選手になりたい」

 その前にやらなければいけないことは分かっている。「全日本、初優勝できるように頑張ります」。やっぱり控えめながら、しっかりと宣言した。(小田邦彦)

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