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1630冊、誰も借りず 武雄市図書館の民間納入本
佐賀県の武雄市図書館を運営する指定管理者のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は14日までに、約2年半前の新装開館の際に納入した約1万冊の中古本のうち、一度も市民が借りていない本が計1630冊あると明らかにした。
CCCは「より精度の高い本選びをすべきだった」とし、同数の本を寄贈するとしている。一度も貸し出しのなかった本に含まれているか明らかにしていないが、納入された本の中には、10年以上前に出版された資格試験の対策本や、関東地方のラーメン店を紹介する本などもあった。
CCCや武雄市教育委員会によると、平成25年4月の新装開館時、約2千万円の予算で蔵書を増やすことを計画したが、館内の安全対策費がかさんだ。そのため、本代を760万円弱に抑え、CCC側が中古本を選び、納入した。
市教委は「有害図書かどうかなどの観点で納入時に確認し、悪い本というわけではなかった」と説明。今後もCCCへの運営委託を続けるという。
慶応大の糸賀雅児教授(図書館情報学)は「貸し出し歴がないこと自体は問題の本質ではないが、関東地方のグルメ本などは明らかに不適切。税金を使って買うべき本だったのか、説明責任を果たすことが必要だ」と指摘する。
武雄市図書館は新装開館の際に、レンタル大手「TSUTAYA」を展開する民間企業のCCCが運営を担うことになり、注目を集めた。