ひとつの商品に異物が混じっていたら、同じ種類の数万食をすべて捨てる。1日でも賞味期限を過ぎていたら、すぐゴミ箱行き……。食の「常識」がそんな風に変わってしまったのは、いつからだろう。
年間800万トン
まだ夜も明けきらぬ午前4時30分。都内の某スーパーでは、商品の入れ替え作業が行われていた。
店先に、人の背丈ほどの高さに積まれた、青いプラスチックのトレイ。中には、売れ残った弁当や総菜がずらりと並ぶ。
「廃棄する食品は毎日業者さんが回収に来ます。最近は商品管理システムもありますから、驚くほどたくさんの廃棄が出る、というわけではないですが……」(店員)
同じような光景は、全国に星の数ほどあるスーパーやコンビニ、飲食店で見ることができる。
賞味期限切れの鶏肉や、「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下ココイチ)で廃棄となった、異物混入の疑いがあるビーフカツなどの食材が、愛知県のスーパーなどへ産廃処理業者によって横流しされていた問題。
多くの国民は、「一度捨てられた食材で儲けるなんて、許せない」と、関係した業者らに激怒している。食材を転売していた「みのりフーズ」(岐阜県)の実質的経営者・岡田正男氏の、
「違法だとは思わない」
「昔は腐ったご飯も洗って食べた」
といった悪びれる様子のない言動も、火に油を注いだ。岡田氏に改めて話を聞くと、こう述べた。
「大いに反省しています。悪気があってしたことではないけど、たくさんの人に迷惑をかけました。
今は倉庫の片付けをしています。妻に言われて、離婚届にも判を押しました。子供からは縁を切られた。これから先、どうやって生きていこうか。期限切れだけど、倉庫には食べ物があるので、工夫しながら頑張ります。
私は8人兄弟の5番目で、小さな頃から腹一杯食べることなんてなかった。だからかな、食べ物を大事にするという意識が身についたんだと思います。期限切れでも保存状態が良ければ、問題ないものもいっぱいある。自分の目で見て匂いを嗅いで、食べられるかどうか判断するんです」
-
なぜ日本の男は苦しいのか? 女性装の東大教授が明かす、この国の「病理の正体」(2016.01.28)
-
日本の食の安全基準は国際的に大きく後れを取っていた~「日本産は安心」は自意識過剰?(2015.12.30)
-
性の先進国スウェーデンに学ぶ「幸福な”夜”の過ごし方」(2015.12.11)
-
「官公庁オークション」はこんなにお得! ”プリウス1万円”ほか、驚き価格満載(2016.02.07)
-
ついに建て替えが決まった「横浜・傾きマンション」住民に提示された破格の補償内容とは?(2016.02.10)
- なぜトランプは暴言を吐くたびに人気が上がるのか 〜その知られざる素顔(2016.03.17)
- 丸山ゴンザレス・アテネ訪問記【後編】難民が集う公園は「ドラッグ無法地帯」と化していた(2016.03.17)
- 川崎老人ホーム連続殺人犯の元同僚が証言「私が見た"闇"の実態」(2016.03.17)
- 二度の世界大戦で敗れたドイツが、それでもヨーロッパの「頂点」に君臨し続ける本当の理由 (2016.03.17)
- 続発する「反トランプ」抗議デモ 〜米大統領選「人種」争点化の危険水域に(2016.03.16)
- 「民進党」をナメてはいけない~合流の舞台裏と、自民が怖れる共産党との連携の可能性を明かそう(2016.03.16)