「消費増税は必要」米教授、時期は言及せず
政府は17日、5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた2回目の「国際金融経済分析会合」を首相官邸で開いた。講師として招かれたデール・ジョルゲンソン米ハーバード大教授は「社会保障を支える財政政策が必要だ」と強調。会合後、記者団に対して消費税率10%への引き上げが必要との認識を示した。
16日の初会合に出席したノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は「世界経済は弱体化する」として、安倍晋三首相に消費税率の引き上げ延期を提言していた。これに対し、ジョルゲンソン氏は「世界経済が崩壊するというような予見は間違いだ」と指摘。財政健全化の重要性を強調し、認識の違いが明確となった。
ただ、会合では2017年4月に予定通り消費税率を引き上げるべきかどうかについては議論されなかったといい、ジョルゲンソン氏は「タイミングを今決めるのは時期尚早だ」と語った。日本経済の再生に向けては「規制緩和による生産性向上や同一労働同一賃金の実現、持続可能な財政政策への対応が必要だ」と提言した。
ジョルゲンソン氏とともに講師として出席した元日銀副総裁の岩田一政・日本経済研究センター理事長は会合で首相から「世界にデフレ懸念が広がっているのか」と問われ、「米国と英国はデフレの可能性はないが、日本や南欧、中国はデフレのリスクがある」と回答。成長戦略や日銀のマイナス金利政策の推進を提唱した。
ジョルゲンソン氏は米国経済学会長などを歴任した著名な経済学者。第3回会合は22日の予定で、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大教授を招く。【宮島寛】