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シャープは17日、蚊を取る機能がついたプラズマクラスター空気清浄機「蚊取空清(かとりくうせい)」を日本で発売すると発表した。昨年9月にASEAN諸国で先行発売したところ、当初計画の約2倍のペースで販売台数が伸びているという。日本でも一昨年に約70年ぶりでデング熱の国内感染者が発生しており、蚊が多く発生する夏期に販売が伸びるものと同社は期待している。
蚊取空清は、もともとマレーシアやインドネシア、タイ、シンガポール、ベトナム、フィリピンといったASEAN諸国向けに開発された製品。社内のASEAN地域の責任者から「空気清浄機もいいが、現地の人は蚊が一番怖い。蚊が取れる空気清浄機をつくってほしい」と強く要望されたことが開発の発端となったと空調・PCI事業部の冨田昌志第二商品企画部長は話す。
ASEAN地域のニーズに対応した製品として開発がスタートし、製品の構想から試行錯誤を経て今の方式にたどりつくのに4年、そこから商品化に2年、計6年かかった。
蚊を捕獲するために、蚊の習性を利用した。蚊が好む波長360nmの紫外線を発するUVライトを搭載。蚊は黒い色が好きなことから本体には黒色を採用した。暗がりや物陰に隠れるのを好むことから、複数の小窓も設置している。
空気清浄機の吸引力によって近づいてきた蚊を吸い込むが、最終的に薬剤ではなく、取り換え可能な粘着シートで蚊を捕獲する。現地では、殺虫剤の健康への影響を不安視する声があり、殺虫剤メーカーとの協業など、さまざまな方策を検討したが、最終的に技術陣が提案した現在の蚊を捕獲する方式に落ち着いたという。
商品化に際しては、マレーシアの現地法人とも連携をとり、マレーシア保健省医療研究所(IMR)で試作機の実証テストを繰り返し実施。テストの回数は67回、使用した蚊(イエ蚊系、ヤブ蚊系、シマ蚊系の3種類)の数は1万391匹に達した。
日本においても、蚊の捕獲試験を実施。約6畳相当の試験空間などの条件下で22時間後の捕獲率を測定したところ、アカイエカは約95%、チカイエカは約98%、ヒトスジシマカは約88%だった。
蚊に悩まされるているのはアジアだけではない。中南米を中心にジカ熱が流行するなど、蚊による病原体の媒介は世界的に社会問題化している。グローバル展開については、今春に中国での発売を予定するほかは未定だが、北米や南米などからの問い合わせもあるという。冨田部長は「蚊に困っている地域には、できる限り商品を展開したい」としている。
日本では4月23日に発売予定で、実売予想価格は5万円前後。冨田部長は「空気清浄機は基本的に冬によく売れる商品で夏はあまり売れないのですが、この商品は蚊が多い梅雨明けから夏にかけて特に売れるのではないか」として、従来の非需要期における販売増に期待している。
(取材・文:具志堅浩二)
TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画
「踊らされる熊を救った方法」
インドのカランダル地域では伝統的にナマケグマの子供を捕獲し、とても非情な方法で踊りを調教することで生計を立ててきました。カーティック・サティアナラヤンが何世紀にもわたる古来からのこの風習に終止符を打つなかで、重要な教訓を見つけ出しました。彼らを解決策の一部として取り込んでしまうというものです。
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