【移民危機】17日からのEU首脳会議 移民対策でトルコと合意目指す
- 2016年03月17日
欧州連合(EU)は17、18日に開く首脳会議で、トルコと移民対策の最終合意を目指す。
対策案には、トルコからギリシャに到着する移民すべてが送還され、シリア人1人が送還されるごとにトルコにいるシリア人1人が欧州内で定住できるという取り決めが含まれる。
EUのドナルド・トゥスク大統領は合意までには「あらゆる課題」が残されていると認めている。
一方、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はEU加盟国にさらなる対応を促している。
メルケル首相は16日夕、議会で演説し、「トルコが270万人もの難民のためにしたことは、最大の称賛に値する」とした上で、「28カ国5億人を擁する欧州は、公平な分担が上手にできず、栄光ある対応をしたとは言えない」と語った。
2015年には100万人以上が海を越えて欧州に不法入国したが、その多くがトルコからギリシャへの渡航者だった。今年に入ってからも13万2000人以上が海路でギリシャに到着しており、前年の同時期よりも大幅に増加している。
ブリュッセルで始まる首脳会議は17日に始まり、18日にはトルコのダウトオール首相も参加する予定となっている。
対策案が最初に提案された先週の会議では、トルコが案を受け入れる代わりに、6月中にトルコ人の欧州渡航を査証なしで認めることが示された。EU首脳らはさらに、昨年トルコに約束した資金援助を早急に実施し、トルコのEU加盟交渉を加速させるとしている。
しかしブリュッセルで取材するBBCのクリス・モリス記者は、EUが約束を履行するか、トルコ政府が望むほどには確実ではなさそうだと指摘する。
トルコのEU加盟をめぐっては、できるだけ早く交渉を再開するとしているのみで、交渉が加速するかどうかは依然不透明だ。また、6月末までに開始するとしている査証なし渡航では、EUが求める72の条件をトルコがすべて満たす必要がある。
さらに、トルコへの資金援助を60億ユーロ(約7500億円)に倍増させるのは、まず最初に部分的に提供される資金が良い結果をもたらすことが条件とされている。
モリス記者はさらに、非正規移民をギリシャからトルコに送還する法的な根拠があるかどうかについて議論が続いていると指摘する。
スペインのホセ・マヌエル・ガルシア=マルガージョ外相は難民を一律にトルコに送還することに反対を表明している。
欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、課題は依然としてあるものの、首脳会議での合意を「慎重ながら楽観している」と述べた。
<用語について> BBCは、亡命申請の法的手続きを終えていない、移住中の人すべてを「移民」(migrants)と呼んでいる。この中には、戦争で引き裂かれているシリアのような国を逃れて移動し、難民認定される可能性の高い人たちも含まれる。また、各国政府に「経済移民」と分類される可能性の高い、より良い職業や生活を求めて移動している人たちも、「移民」に含まれる。
(英語記事 Migrant crisis: 'Many issues' in way of EU-Turkey deal)