ある金融グループの昨年の経営実績を見ると、利子による利益は前年比3.3%減少した一方、手数料による利益は11.0%増加した。主力子会社の銀行が前年の2倍を超える6兆7000億ウォン(約6100億円)相当のファンド商品を販売し、これだけで1500億ウォン(約140億円)以上の手数料収入を得たためだ。だが、同行は昨年、営業利益の60%を販売管理費に充てた。販売管理費の73%は人件費だった。つまり、年収1億ウォン(約900万円)を超える行員の人件費をまかなうため無理してでも利益を絞り出す必要があり、その過程で顧客が犠牲になっているというわけだ。
銀行としても言い分はあるだろう。投資のリスクを全て説明し、顧客が自分で判断して投資したという確認書に署名ももらった、と。あるいは、こんな釈明が少し決まり悪ければ「入出金・送金・クレジットカード手数料は金融当局が全て制限しているのに、私たちも食べていかねばならない」と抗弁するかもしれない。だが、こうして絞り出した収益を使い、3年分の年収に子どもの学資金まで提供して毎年「名誉退職パーティ」を繰り広げていることについては、どう説明するつもりなのか。
各行は3月に始まる国民財テク通帳、個人総合資産管理口座(ISA)の市場を虎視眈々と狙っている。高リスク投資商品を販売し、車や海外旅行まで景品にしている銀行が韓国のほかにあるだろうか。顧客の投資金を銀行が自由に運用できる「一任型ISA」の販売許可まで得て、今度はどんな手で純真な顧客を誘惑するのか、今から心配だ。