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2016-03-17 告発の行方 このエントリーを含むブックマーク

例の「保育園落ちた日本死ね!」「#保育園落ちたの私だ」に対する反発や、同性婚への偏見を見てもわかるように、現代保守層が重視する価値観ひとつが「家父長制度」であります


戦後になって制度的には否定された家父長制ですが、近年、安倍自民党が推し進める改憲論議も、この価値観根底にあることが草案などを見るとよくわかります



で、日本司法が、家族主義から個人主義を重視するようになった、象徴的な事件についての記事を紹介します


「父殺しの女性」を救った日本初の法令違憲判決:日経ビジネスオンライン 「父殺しの女性」を救った日本初の法令違憲判決:日経ビジネスオンライン


1968年に栃木県で発生した、29歳の女性が同居していた父親殺害した事件逮捕された女性は、14歳のころから15年間にわたって実父に性行為を強要され、5人の子どもを出産し6度の妊娠中絶をさせられるという壮絶な人生を送っていました。長年にわたり続いた暴力エスカレートした末の行動であり、情状酌量余地は大きくありましたが、当時の刑法には尊属殺の規定があり、親を殺したもの死刑無期懲役とされていました。そのため最大限に減刑したとしても実刑はまぬがれません。そこで、弁護人は尊属殺の規定憲法に明記された法の下の平等に反する、と主張し、結果として、最高裁判所法廷違憲立法審査権を発動し、既存法律違憲判断した最初判例となりました。現代法学において、重要事件として名高い裁判です。


当時の判決文にある、

近代国家憲法がひとしく右の意味での法の下の平等尊重・確保すべきものとしたのは、封建時代権威と隷従の関係を打破し、人間の個人としての尊厳平等回復し、個人がそれぞれ個人の尊厳自覚のもとに平等立場において相協力して、平和社会国家形成すべきことを期待したものにほかならない。日本国憲法精神もここにあるものと解すべきであろう。

という一文は、護憲派改憲派も忘れてはいけないと思います



記事趣旨は、日本国憲法のもとで、個人の尊厳が家父長制を打破した記念すべき瞬間について、なんですけど、それとは別の切り口も見てみましょう。



オレはこの事件に関してひとつ、心の底から恐ろしいと思っていることがあるんですよ。

尊属殺人罪が消えた日

尊属殺人罪が消えた日


被告となった女性は、父親との異常な関係について「父とのセックスに、快感がなかったと言ったら嘘になります」と話した、という記録が残っているんです。

度重なる妊娠中絶で身体に深いダメージを負い、不妊手術を受けて以降はまったく快感がなくなりセックス苦痛になった、というんですが、それ以前には快感もあった、とのこと。



これって、ものすごく怖い話ですよ。そう思いませんか奥さん(誰に向かってしゃべってんだ)。



父親に犯され続けるという特異な状況下でも快感を見出す、女の性の深淵が恐ろしい、なんてゲスな話じゃないですよ、念のために言っておきますけど。



そんな記録が残っているということは、15年間も父親レイプされ続けていた女性に「あなた気持ちよかったんじゃないの?」と聞いた人がいる、ってことじゃないですか。



そんな怖い話、ありますか? そんな無神経が許されていいんですか? いくら40年以上前だといっても、あまりにもひどい話です。



家父長制と個人の尊厳については画期的判決が出たこの事件ですが、性犯罪の取り扱いについては、まだまだ配慮がなかった時代なんだなあ。

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